東京五輪でメダル可能性あり!男子110mハードルで日本新Vの“21歳新星”泉谷駿介の何がどう凄いのか?
どこまでタイムが短縮されるのか。近年の男子110mハードルは記録ラッシュが続いている。時代の進化に戸惑っている陸上関係者は少なくない。東京五輪の代表選考会を兼ねた陸上日本選手権(27日・ヤンマースタジアム長居)の最終日で21歳の泉谷駿介(順大)がとんでもない記録を叩き出した。その凄さを実感するために、まずは男子110mハードルの近年のストーリーを確認しておこう。 3年前の日本選手権が始まるまで、男子110mハードルの日本記録は13秒39だった。2004年のアテネ五輪で谷川聡が打ち立てたものだ。しかし、次々と未知なる扉が開けられていく。 2018年の日本選手権で金井大旺が14年ぶりの日本新記録となる13秒36(+0.7)で突っ走ると、翌年の大会では高山峻野(ゼンリン)と泉谷駿介(順大)が日本記録に並ぶ“同タイム決着”を演じた。3人が保持していた日本記録は、高山が2019年7月に13秒30、同年8月に13秒25まで短縮すると、今季はさらに急上昇している。 4月29日の織田記念で金井大旺(ミズノ)が自己ベストを一気に0.11秒も更新して13秒16(+1.7)の日本記録を樹立したのだ。さらに泉谷が13秒30、村竹ラシッド(順大)が13秒35をマーク。「3枠」の東京五輪代表を争う今年の日本選手権は大激戦となった。 大会記録は「13.36」で金井大旺、高山峻野、泉谷駿介の名前が並んでいたなか、予選で19歳の村竹が13秒28の大会新をマーク。自己ベストを0.07秒短縮して、五輪参加標準記録(13秒32)も突破した。この時点で泉谷は後輩に自己ベストを抜かされたことになる。 決勝ではスタート直後にピストルが鳴った。村竹と日本歴代5位タイの記録を持つ 石川周平(富士通)がフライングで失格。6レーンの泉谷は両サイドの選手がいなくなったが、動揺はしなかったという。「村竹の分まで頑張ろうと思いました」とさらに気持ちを高めていた。 前半は金井がリードするも、泉谷が徐々に迫っていく。そして逆転。「13.06」というフィニッシュタイムに会場がどよめいた。泉谷が13秒06(+1.2)で1位、金井が13秒22で2位、高山が13秒37で3位に入り、3人が東京五輪代表に内定した。