東京五輪でメダル可能性あり!男子110mハードルで日本新Vの“21歳新星”泉谷駿介の何がどう凄いのか?
泉谷は自己ベストを一気に0.24秒も更新しただけでなく、日本記録も0.10秒塗り替えた。この記録は今季世界3位。シーズン序盤ではなく、世界大会1カ月前の順位だけに“ホンモノ”だ。 泉谷本人も「競技人生のなかで13秒1台を目標にしていたんですけど、それを超えて13秒0台が出てビックリしています」と戸惑いの笑顔を見せた。実は5週間前の関東インカレで同じような“スピード感”を体験している。追い風参考記録ながら13秒05(+5.2)で走っているのだ。そのときは、「公認でもこれくらいのタイムを出したいです」と話していたが、これほど早く到達するとは本人も思っていなかっただろう。 110mハードルは高さ106.7cmのハードルを10台跳び越える。ロスを少なくするために、障害を下限ギリギリでクリアしながら、ハードル間を3歩で進む。悩ましいのが、スピードが上がりすぎると、9.14mしかないハードル間で脚が詰まってしまうことだ。その難しさを泉谷は何度も味わってきた。 関東インカレの予選で日本歴代3位(当時)の13秒30(+0.8)をマークしたときも、「中盤以降はインターバルが詰まってしまい、思い通りの動きができませんでした」とこぼしていた。しかし、関東インカレの決勝で未知なるスピードを体感したことで、「インターバルの刻みやハードリング、すべてがつながった感じです」と日本選手権の快走が誕生した。 進化が止まらない泉谷のキャリアを紐解くと、ハードル選手としての強さと可能性を感じることができるだろう。国内トップ選手は中学時代からハードルをメインにしてきた選手が大半だが、泉谷はまったく異なる。 中学時代は四種競技がメインで最も得意な種目は走り高跳びだった。武相高校では八種競技に挑戦。3年時はインターハイで5916点(当時・高校歴代6位)をマークして優勝すると、三段跳びも15m16で3位に入った。10月には110mハードルで13秒93(当時・高校歴代4位)という好タイムを残している。 「身長が大きくないので混成競技は高校までにして、大学では三段跳びをメインに、走り幅跳びと110mハードルも同じくらいやりたいなと思っていたんです」と名門・順大に進学。跳躍ブロックに所属したことで、ハードラーとして“独自の進化”を遂げることになる。