【宇宙はどんな形?】宇宙の大きさは有限か?無限か?「3次元空間」が「4次元空間」の中で曲がっているってどういうこと
宇宙はどんな形をしているのか? その謎に迫るために取り入れられているのが「トポロジー:位相幾何学」と呼ばれる数学です。このトポロジーの中でも、超弦理論との関係から近年注目されている「結び目理論」や、宇宙空間を考えるうえで重要になる「高次元幾何学」を中心に、この不思議な世界を紹介する新刊『宇宙が見える数学』。この記事では、宇宙の形を考えます。「大きさは有限だけど、端はない。まっすぐ進んでいくと、もと居た場所に戻る!」そんな宇宙の形が想像できますか!? 【宇宙はどんな形?】「3次元空間」が「4次元空間」の中で曲がいるってどういうこと *本記事は『宇宙が見える数学』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
我々の宇宙の大きさは無限なのでしょうか?
「宇宙を、ある点からまっすぐ進んで行くと、どこに行くのでしょうか?」と本書の最初に問いました。そのひとつの回答として「自分が、もといた場所に戻ってくる」と述べました。その話をここで詳しくしたいと思います。 この問いと関係がありますが、「我々の宇宙の大きさは無限なのでしょうか?」とも問いました。 私たちは、「たて・よこ・たかさ」で特徴づけられる3次元空間R3(*アールスリー:Rは二重線、3は肩付き)を算数以来、ふつうに扱っています。算数や数学で、この3次元空間R3を考えるときは、たて・よこ・たかさの軸が無限に伸ばせます。 地球のまわりだけを見ていると、宇宙は「無限に広い」3次元空間なのだろうか、という気もしないでもありません。しかし、量子力学では真空であってもエネルギーを持っていると主張されており、これは「真空のエネルギー」と呼ばれ、どうやらこれは正しいようです。 ということは宇宙の大きさが無限だとすると、大半の部分が真空だったとしても宇宙全体にはエネルギーが無限にあるということになります。 宇宙論では、宇宙はほぼ1点から始まったと考えられています。宇宙マイクロ波背景放射(図1)というビッグバン理論に由来する電磁波の観測結果などからもこの説は信憑性が高いものです。
【関連記事】
- 【続きを読む】「宇宙の形が3次元空間R3ではなく『3次元球面S3』だったら……」アインシュタインが論文に書いた宇宙の形とは?
- 【高次元の図形問題】「4次元立方体の3次元空間R3での展開図」が、なぜ8個の立方体であらわされるのか説明できますか
- 【平面から4次元が出現!】不思議な図形「クラインの壺」。3次元空間では作ることができない図形が「4次元空間」だったらできる!
- 【不思議な幾何学】宇宙論や超弦理論と関係している「結び目理論」とは何か。「円周を結んだ」不思議な図形が宇宙の謎をほどく!?
- 裏と表のない世界!左右の逆転が起こる!境界が1つしかない!そして「結び目」が出現する!メビウスの帯とアニュラスの不思議な図形世界