じつは、授業で「数学センス」は磨かれなかった…「1の位が1になる九九は?」と聞かれて、パッと答えられる「じつにシンプルな方法」
「数学的なセンス」とはなんでしょうか。 数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。 【画像】図形にしたらいい…どうしたら「わかりすくなる?」に気づける「数学センス」 〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです! 中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から,数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。 *本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
九九表にひそむ「対称性」を探す
九九表の左上から右下にかけて対角線を引いてみよう。 数の並びが線対称になっていることがわかるだろう。 線対称になる理由は,かけ算の交換法則,すなわち,○×□=□×○が成り立つことからわかる。 九九表中の数字の「1の位」だけに注目すると,右上から左下にかけての対角線に対しても,線対称であることに気がつくはずだ。 3×4=12と6×7=42の1の位はともに2で,7×2=14と8×3=24の1の位はともに4というように対応していることが,すべての組で確認できる。 このことから,a×bと(10-b)×(10-a)の1の位が等しいと定式化できることに注意を向けよう。後者を計算してみると, (10-b)×(10-a)= 100-10(a+b)+ab であるため,100-10(a+b)は1の位に影響しない。したがって,abで1の位が決まることがわかる。 九九表に限らず, さまざまな数表に対して, いろいろな直線で対称性を探してみることが, 数に対するセンスを磨く第一歩となることを覚えておこう。 続いて,九九表における各段の関係に注目してみよう。