体にいいナッツ5種でベストはどれ? がんや認知機能、血圧やコレステロールなどに効果
血圧低下や抗炎症作用なども、ナッツごとに違う豊富な栄養素や健康効果
ナッツ類にビタミンやミネラルが含まれていることはほとんどの人が知っているが、どんなふうに健康に良いかについてはどうだろうか。ナッツ類を取ることには、がんリスクの低下、骨の強化、血糖値の安定化による糖尿病リスクの低下などの効果がある。2019年に学術誌「Advances in Nutrition」に発表された研究によると、毎日28gのナッツ類を食べることで、心血管疾患のリスクが21%も下がるという。 ギャラリー:炎症を抑える食べ物とは、病気の進行やがんの治療にも影響 写真6点 最も驚くべきは、ナッツ類はカロリーが高いにもかかわらず、適量の摂取であれば体重増加を促さないことかもしれない。 それどこか、ナッツ類を定期的に摂取する食習慣は、体重増加が抑えられることと関連づけられていると、米ハーバード大学医学大学院の肥満・栄養疫学者であるディアドラ・トビアス氏は言う。理由は、ナッツに含まれる脂肪分、食物繊維、タンパク質が満腹感をもたらし、空腹の苦しみを紛らわせ、腸を健康にするからだ。 さらに、ナッツ類のカロリーの一部は便として排出されるため、たとえばアーモンドやクルミは吸収されるカロリーが従来考えられていたより20%以上少ないことが2016年の研究で明らかになっている。 ナッツを食べる利点はそれだけではない。血圧を下げ、認知機能を向上させ、コレステロール値を下げ、さらには長寿にもつながる。米メイヨー・クリニックの登録栄養士であるキャサリン・ゼラツキー氏は、「食生活の質を向上させたい人には、ナッツをもっと食べることを勧めます」と言う。 とはいえ、すべてのナッツが同じ効果をもたらすわけではないし、どの種類のナッツも食べ過ぎるべきではない。 以下では、食生活に取り入れたい主なナッツとその効果を紹介しよう。
アーモンド
アーモンドは常に、栄養学者が挙げる健康に良いナッツのリストの上位にランクインしている。 トビアス氏によると、アーモンドに含まれる食物繊維はナッツ類の中でも特に多く、100gあたり10.1gもある(以下、断りがない限り成分量は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づく)。食物繊維はがんや2型糖尿病のリスクを下げ、体重管理にも役立つ。 ビタミンEも豊富だ。米テキサス州ダラス在住の栄養士で登録栄養士であるエイミー・グッドソン氏は、「ビタミンEは、皮膚を健康にし、免疫系を強化し、血管機能をサポートします」と言う。また、アーモンド100gにはマグネシウムが290mgも含まれている。「マグネシウムは筋肉の機能に不可欠です」とグッドソン氏。 研究によると、アーモンドの皮には抗酸化物質のポリフェノールが豊富に含まれているため、いわゆる悪玉(LDL)コレステロール値を下げる効果もある。登録栄養士で米ニューハンプシャー栄養・食事療法アカデミー会長のジェン・メッサー氏は、「アーモンドには、骨を健康にするカルシウムとリンも多く含まれています」と言う。