【宇宙はどんな形?】宇宙の大きさは有限か?無限か?「3次元空間」が「4次元空間」の中で曲がっているってどういうこと
この球体を4次元空間R4の中で曲げると
片方の球体を図11のように4次元空間R4の中で曲げます。 もう一方の球体も、4次元空間R4の中で曲げます(図12)。 この2個を貼り合わせます(図13)。 また、貼り合わせた境界同士はぴったりとくっつき境界がわからなくなっています(そうなるような理想的な状況を考えています)。 これが、「宇宙の大きさは有限であるが、端がない。そのため、ある点からどんどん進んだとき、もとに戻ることがある」というモデルの一例です。
3次元球面の大きさが有限で、端がない理由
この図形には「3次元球面S3(エススリー)」(*Sはイタリック、3は肩付き)という名前がついています。これまで見た図7から図10へ、という意味で、球面の次元を1個上げたものだから、こう呼ばれます。 これに呼応して今まで球面といっていたものを「2次元球面S2(エスツー)」(*Sはイタリック、2は肩付き)、円周を「1次元球面S1(エスワン)」(*Sはイタリック、1は肩付き)ということもあります。S1、S2、S3は省略可です。Sを使う理由は、球面を意味する単語sphereの頭文字のSです。ちなみに「零次元球面S0(エスゼロ)」(*Sはイタリック、0は肩付き)は2点のことです。 3次元球面の大きさが有限なのは、大きさが有限の球体2個を貼り合わせたからです。また、3次元球面に「端がない」というのも円板を2個貼り合わせた2次元球面には端がないということから類推できるでしょう。 さらに、2次元球面はどの点もその点の周辺(ここで周辺というのは、その点を含んだものを意味しています)は小さい平面(を少し曲げたもの)です。 では、3次元球面ではどのようになるでしょうか。 3次元球面は、2つの球体の境界が貼り合わされたものでした。これまで見てきたものから類推すると、3次元球面はどの点のまわりも小さい(少し曲がってもよい)3次元空間R3であることがわかります。
小笠 英志(数学者)
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