「はやぶさ2」カプセル回収前にJAXA会見(全文1)14時30分にカプセル分離予定
わくわくするような機会
クラーク:おはようございます、そして皆さま方どうもありがとうございます。ここウーメラにおきましても、オーストラリアにおきましても、もう本当にこれは画期的、そしてわくわくするような機会となっております。実際問題、オーストラリアにおきましても、Space Agencyというものができまして、それがだんだんと進化をしているんですけれども、このような機会に一緒に参加できる、協力できるというのはとても素晴らしいことだと思っております。それからJAXAのほうからは藤本さんにご参加いただきまして、いろいろなことをまたサポートされておりますし、私たちもサポートしております。 昔からオーストラリアと日本というものは、この協力関係、特にサイエンス、スペースにおきましてはあったんですけども、今後ももっと、私たちといたしましても、さらに日本とも関わって宇宙開発のほうに目を向けていきたいと思っております。 まずは、私どもが望みますのはウーメラの地にJAXAの「はやぶさ」からのカプセルが無事に着陸すること。そして全ての行動が、全ての計画が無事に終わるということを祈っております。藤本さま、JAXAの方もここで一緒に活動できる、そして日本のこのような活動をサポートできるというのは非常に名誉なことだと思っております。ありがとうございます、皆さん。 司会:クラーク長官、ありがとうございました。それでは「はやぶさ2」プロジェクトチームより、再突入カプセル回収の準備状況についてご説明をさせていただきます。それではよろしくお願いいたします。 吉川:それでは「はやぶさ2」の記者会見、説明を始めたいと思います。お手元の資料をご覧になりながら聞いていただければと思います。ではプロマネの津田からお話をさせていただきます。
探査機側の準備状況
津田:それでは全体のご説明のうち探査機側の準備状況、飛行状況についてご説明させていただきます。あらためまして今日お集まりいただき、どうもありがとうございます。資料は3ページからの説明になります。出ているのかな。 3ページですが、リエントリーに向けた探査機の現在の状況ですが、12月1日に最後の軌道修正マヌーバですね、TCMと呼んでいますが、その第4回、TCM-4を行いました。これは基本的には微修正で、秒速4.6センチメートルという非常に小さい噴射を行いまして、それでカプセルをウーメラのどこに着陸させるかというのを精密に変更したということです。この秒速4.6センチメートルっていうのは着地予想点中心を、今までのTCM-3のあとに比べて南東に33キロメートルほど移動させたというような関係になります。これは単に正確に調整するということだけではなくて、最初、探査機は地球から遠ければ遠くを飛んでるほど、どこを飛んでいるかが曖昧になるんですね。それが地球に今、近づいていますので、それに伴って軌道の精度も上がってきます。そのことを利用して着地点の予測も良くなりますので、オーストラリアで今、待ち構えている回収隊のメンバーができるだけ回収しやすい場所に着陸の予想中心を変更するという目的もありました。そういう目的で33キロメートルほど移動させていて、現在はこのページにある赤い楕円ですね、だいたい150キロメートル掛ける100キロメートルぐらいの楕円。この地域のどこかに着陸するはずであるということになっています。 これ、かなり広大な広さなんですけども、探査機自身は実はこの大気圏突入する前までは、もう1キロメートル以下ぐらいの細いチューブの中を飛んでいるというようなぐらいの精度で分かっていると。実際には数百メートルです。ぐらいのチューブのどこかを飛んでいるということが分かっていて、非常に精度良く分かっています。 こうしてきたのはTCM-3のちょっと前から「はやぶさ2」は外乱抑止モードということで、もう絶対に噴射だとかガスが出るとか、姿勢変更によってちょっとした軌道がずれるとか、こういうことを起こさないように慎重に慎重に運用してきて、ここまでそれが非常に功を奏しています。そのために非常に正確に今どこを飛んでいるか分かっているという状態ですね。ただ最後、風はコントロールできませんので、地上の天候の理由でこういう赤い、広い場所のどこかに着陸するという着陸地域を設定しているということになります。