「はやぶさ2」カプセル回収前にJAXA会見(全文2)未来にバトンつなげたい
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日午後、記者会見でまもなく地球に帰還する探査機「はやぶさ2」の現状について説明した。 【動画】「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日)」に対応しております。 ◇ ◇
地球スイングバイ後の観測運用
吉川:はい、では10ページ目に入ります。「はやぶさ2」の場合はカプセルを切り離したあとも探査機のほうは運用は続くということで、ここでは地球スイングバイ後の観測運用について簡単にご紹介いたします。 まず光学航法カメラ、ONCですけれども、これは先ほどカプセルを切り離したあと、カプセルのほうを撮像するということをやりますけれども、そのあと地球から離れていくときに地球の撮像と月の撮像を行います。目的は1つはキャリブレーションですね。地球とか月というのはよく分かっていますので、よく分かった被写体を撮って、データの質を調べるということを行います。もう1つは広報用、「さよなら地球」ということですので、広報用なんですが、さらにONCチームに聞きましたら、南極上空の夜光雲とかも撮影してみて、何か科学的な研究もしたいということのようです。 続きまして中間赤外カメラ、TIRですけれども、こちらも同じですね。地球および月の観測を12月6日以降続けまして、キャリブレーション、較正とかを行い、リュウグウのデータ解析に活用するということになります。
LIDARの光リンク実験
次のページには今度はLIDARの光リンク実験についてご紹介いたします。これは実は5年前の地球スイングバイのとき、2015年12月、そのときにも行ったんですが、LIDARというのはご承知のとおり探査機と小惑星の間の距離を測る装置ですね。これ、レーザー光線を使います。それを宇宙空間の通信としての模擬実験にしようということで、地上局からレーザー光を照射して「はやぶさ2」で受信すると。逆に「はやぶさ2」からLIDARを打って、レーザーを打って、地上局で受信すると。そういう実験を試みる予定です。これは深宇宙におけるレーザーレンジング技術の発展につなげていこうという目的があります。 体制ですが、協力してくださる機関はNICTですね、情報通信研究機構。それからオーストラリア、フランス、ドイツの観測所に協力していただきます。具体的にはNICTの小金井局、ストロムロ山観測所、これオーストラリアです。あとグラース観測所、フランス。ヴェッツェル観測所、ドイツと。これらの方々にご協力いただきます。一応予定期間は12月7日から23日の間ということになります。 最後にスケジュールですが、これはすでに皆さんにご連絡はしてあるんですが、カプセル回収後の記者会見は12月6日、16時30分からこの相模原の会場と。それからネット中継は、まずはあすの午後13時30分から16時40分、日本時間ですけれども、これはカプセル分離運用、プラスTCM-5ですね。地球から離脱するマヌーバの運用についてをネットで中継いたします。さらに12月6日の未明、午前2時から3時10分の予定ですが、カプセルが火球としてオーストラリア上空に現れる様子を中継したいと思っております。 以上ですが、あと参考資料として14ページは、これは拡張現実ですね、ARでカプセルがどのような軌跡を、空をどのように通過していくかという、そういうソフトが今、どなたでも使えます。これは本当はオーストラリアで使っていただくのがいいんですが、日本国内でもこのように、これは今朝、相模原の、このキャンパスのすぐ向かい側の道路で撮ったわけですけれども、このアプリを使うと、この下にスライドのバーがあって、高度によって明るさがどのように違うかというのもシミュレートできるんですね、明るさがこの上のところに現れますので、もしご関心があればダウンロードして確認していただければと思います。 あとはこれまでの帰還の軌道図と、最終誘導についてのまとめの図ということになります。説明は以上になります。