「はやぶさ2」カプセル回収前にJAXA会見(全文4完)試料はまず初期分析の合同チームで分析
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日午後、記者会見でまもなく地球に帰還する探査機「はやぶさ2」の現状について説明した。 【動画】「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日)」に対応しております。 ◇ ◇
「はやぶさ2」のチームはどう育ったか
読売新聞:読売新聞の中居と申します。よろしくお願いいたします。先ほどのプロジェクトマネージャの引き継ぎの話につながる話なんですけれども、まず國中所長にお伺いしたいんですが、「はやぶさ2」が打ち上げられて、間もなく、当時39歳だった津田さんにプロジェクトマネージャを引き継がれたわけですけれども、その後ミッションが始まりまして2回目のタッチダウンなどでチームの中で実行するかどうか葛藤があったと思います。そういったことも含めて、今この「はやぶさ2」のチームがどのように育ったと國中所長はお考えでしょうか。若い人材も起用したチームだったと思うんですけれども、その辺りも含めて。 國中:「はやぶさ2」にはかなり若手を大変重点的に、かなり多くの人間を投入して、特に近傍探査のフェーズでは多くの若手の人間を入れました。その意図はこのあとMMXやDESTINY+というさらなる深宇宙探査というのを実行するために「はやぶさ2」の運用を教育現場として経験を積ませるということを主眼に置いてそういった人材配置をしたということになります。ですから、「はやぶさ2」で経験を積んだ若手がそろそろ中堅になってくるわけですから、彼らが次のプロジェクトに彼らの力を発揮してくれるということを期待してそういったふうに仕向けたわけです。
若手エンジニアの事業への貢献を期待
そしてJAXAは、宇宙航空研究開発機構は国立研究開発法人でありまして、われわれは宇宙機を開発するということが大きな目標になります。つまり今、皆さん、今日のお話は「はやぶさ2」の最後の運用フェーズ、最後の運用のところのお話をしているわけですけれども、JAXAの本来業務としては物を作ることがJAXAの本来業務になります。ですから、プロジェクトを立ち上げて、たくさんの審査があります。PDRだのCDRだというようなたくさんの審査がありまして、エンジニアとしてそういった審査を1つずつどれだけ何回こなしたかというのがエンジニアの価値になります。 運用フェーズというのは少しJAXAの本来業務とはちょっと違うところがありまして、しかし宇宙運用という現場を知らないことには宇宙機はつくれない。つくったときのモチベーションというのは雲泥の差があると思います。その意味で「はやぶさ2」で経験を積んだ若手エンジニアがJAXAの事業に貢献してもらえるであろうと期待しています。 読売新聞:今はどのようにプロジェクトが始まった当初から成長したとお感じになりますか。 國中:特に2回目のタッチダウンのところは議論があったわけですけれども、120点満点の成功を取るのか60点そこそこの点数で安全に帰ってくるのかというのは、これはやはりプロジェクト遂行のための大きな判断ポイントだと思います。ただやみくもに宇宙探査をやりたいから前のめりにするんではなくて、それは理詰めで確実に定量的に根拠を積み上げて、これは2回目の着陸はできるのか、できないのかというのを判断を求めたわけなんですけれども、その意味では私が期待したとおりに理詰めで定量的な成功の確度の高い状態に持っていってくれたということでもって、第2回目の着陸のゴーを出したという経緯です。そういった、いかに理詰めで物事を運んで定量的に成果を示せることができるか、予測することができるかということを彼らは学んでくれたんだろうと思っています。