「はやぶさ2」のカプセルが地球帰還へ 6年の宇宙の旅路を振り返る
小惑星「リュウグウ」での探査を終えた「はやぶさ2」が刻々と地球に近づいています。12月6日未明(日本時間)には、はやぶさ2から分離された「再突入カプセル」が地球に帰還する予定です。カプセルの中にはリュウグウで採取した土砂などが入っているとみられ、これらを分析することによって、太陽系や地球生命の起源や進化の過程などの解明につながることが期待されています。 【図解】「はやぶさ2」小惑星に到着 初代「はやぶさ」との違いは?
はやぶさ2は、数々のトラブルを乗り越えて10年前に地球に帰還して小惑星「イトカワ」の表面物質を持ち帰った初代「はやぶさ」に多くの改良が加えられた後継機で、ミッションは同じく、小惑星に行って土砂などのサンプルを持ち帰るというものでした。はやぶさ2が向かったのは地球から約3億4000万キロ離れた「リュウグウ」という直径約900メートルほどの小惑星です。 2014年12月3日に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられ、3年半の宇宙の旅の末、2018年6月27日にリュウグウに到着しました。 リュウグウでの探査で、はやぶさ2は数々の快挙を達成しました。9月21日には小型探査ロボ「ミネルバII-1」をリュウグウに投下。10月3日には小型着陸機「マスコット」の投下も成功させました。
最大のミッションは、小惑星表面へのタッチダウン(着地)と、その際に、はやぶさ2の機体下にある筒状の「サンプラホーン」で地表の土砂を採取すること。さらに直径30センチほどの円錐型の装置(衝突装置=SCI)をリュウグウ地表に撃ち込んで人工的にクレーターを生成し、そこにタッチダウンして地下物質の採取を試みる前人未到のものでした。 到着後の探査の結果、リュウグウの表面が想定以上にデコボコしていたため、当初10月末に予定されていた1回目のタッチダウンは延期されましたが、翌2019年2月22日に無事タッチダウンに成功。さらに4月5日には人工クレーター(直径約10メートル)の生成にも成功し、7月11日に2回目のタッチダウンを行いました。これらのタッチダウンによって、はやぶさ2はリュウグウ表面の土砂や地下物質の採取に成功したとみられています。10月3日には小型探査ロボ「ミネルバII-2」を投下し、リュウグウでの探査を終了。11月13日に地球に向けて出発しました。
はやぶさ2は次の小惑星探査へ
はやぶさ2は約1年かけて地球の近くまで戻り、今年12月5日午後、リュウグウの土砂などが入っているとみられるカプセルを分離。カプセルは6日未明に大気圏に再突入し、オーストラリア南部の砂漠地帯に着地する予定です。 はやぶさ2本体は地球には戻らず、新たなミッションとして地球と火星の間を回る小型の小惑星「1998KY26」に向かうことが決まっています。