日本曹達が100億円投資で量産へ、次世代有機EL発光材料の特徴
九大発新興と提携
日本曹達は次世代有機EL発光材料の量産化に向けて、九州大学発スタートアップのキューラックス(福岡市西区)と資本業務提携契約を結んだ。今後5年間をめどに段階的に総額100億円を投じ、国内で生産体制を整備する考え。2026年に同材料の量産開始を目指す。 キューラックスが開発する熱活性化遅延蛍光材料(TADF)は現在の有機EL材料技術に必要なレアメタル(希少金属)を使わず、低コスト化や高効率化につながる点が特徴だ。駆動電圧が下がることなどから、同社は消費電力を従来から半減できると試算する。色純度では表現できる色の領域が約40%拡大し、より自然な映像での表現が可能になるという。 設備投資に関しては、日本曹達の国内工場で既存設備の改良に加え、反応槽や昇華精製設備の導入などを想定し、段階的に進めていく考えだ。 両社は20年1月に共同開発契約を締結。TADFの生産ノウハウの確立を目標として、中間体に関する研究開発に取り組んできた。今後の量産開始を見据え、資本提携を通じて連携を強化する。