「はやぶさ2」カプセル回収前にJAXA会見(全文3)カプセルの地球帰還を優先
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4日午後、記者会見でまもなく地球に帰還する探査機「はやぶさ2」の現状について説明した。 【動画】「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「「はやぶさ2」カプセルが地球帰還へ 回収前にJAXAが会見(2020年12月4日)」に対応しております。 ◇ ◇
運用チームの今の雰囲気は
林:ライターの林と申します。津田プロマネにお伺いします。先日の会見で帰還は非常に精密さが要求されるとおっしゃっていましたが、このカプセル回収とかの運用の中で、一番津田さんがクリティカルだと思ってらっしゃることはなんでしょうか。22万キロ先でカプセルを分離するって、とても難しいようにも思えるんですが、そういったことはどうなのかということと、あと運用チームの今の雰囲気を教えてください。 津田:まず、カプセル分離、リエントリー運用の難しさの部分ですけれども、22万キロで切り離すところの難しさというのが、実はちょっとポイントが皆さんが思われているところと違っていて、これは探査機とか宇宙を飛行する物体って、何も外から力が加わらなければ軌道って非常に正確に予想することができるんです。そういう意味では正確に飛行させるためには早く分離したいんですね。なまじ探査機があるとそれが勝手にスラスター噴いたりとか、姿勢を変更したりして軌道が変わるんですけども、カプセル単独だともう身動きの取りようがないので、弾道飛行で飛んでくれるんです。
非常にいい雰囲気であしたを迎えようとしている
ただし、そのカプセルを正しい軌道に乗せてから切り離してあげなきゃいけないので、切り離す前の2週間ぐらい掛けて、ずっと精密に軌道計測をしてきました。ここが非常にクリティカルで、それがTCM-3のちょっと手前、だいたいリエントリーの12日前ぐらいからずっとわれわれ外乱抑止運用というふうに言っていましたが、絶対にスラスターを噴くなと、探査機が異常を検知しても、今まではスラスターを噴いて探査機を安全姿勢に入れるっていうセーフ・ホールド・モードっていうのがあったんですが、それをちょっとアレンジしたスラスターを噴かないセーフ・ホールド・モードっていうのに、探査機、「はやぶさ2」としては初めて入れてずっと運用していました。幸い、そういう異常を検知することはなく今まで来たんですけれども、ここはとにかくカプセルを地球帰還させることが優先で、探査機を生き残すことが最優先ではないという認識の下でずっと、絶対外乱を起こすなという運用をしてきたんです。 それが功を奏して非常にきれいに、スラスター噴くことなく飛行したために、軌道計測がうまくいって、決められた、ほんの限られた回数だけTCM-3と4という形で軌道修正を行って、最後はもう弾道飛行の状態になったところでカプセルを切り離すということです。だから22万キロそのものは遠いかというと、そこに意識があるわけではないということですね。 このあと一番クリティカルなのはカプセル分離からTCM-5のところです。ここはカプセルを分離したことを確実に確認したあと、TCM-5を実行するということになりますので、中1時間しかありません。ここでまだここでも22万キロ先ですからね。目の前で起こることではないことでカプセルがきちんと分離したというのを確実に確認したあと、TCM-5に移らないといけませんので、ここは非常に緊張を強いられるところです。 プロジェクトメンバーの雰囲気は非常に今いい状態です。緊張感でみんな、なんと言うか、そわそわしてる状況はあるんですけれども、ただ皆さん、自分の役割を認識して、もう本当に時間単位というか、分単位で作業をしているところです。非常にいい雰囲気で今あしたを迎えようとしています。 司会1:ありがとうございました。それではウーメラ会場のほうに移りたいと思います。ウーメラ会場のほうからのご質問ですが、逐次通訳という形を取りますので、まず日本語でのご質問をお受けいたします。そのあと英語でのご質問を受ける順番でお願いいたします。それではウーメラ会場、ご質問ありましたら広報の藤本さん、お願いいたします。