灘の日本酒を、大学生が世界へ発信 留学で気づいた日本文化の魅力
会計学を専門とする関西学院大学国際学部の木本圭一教授は、ゼミの学生と「関学・日本酒振興プロジェクト」に取り組みながら、経営戦略分析と財務諸表分析を実践的に学ぶ機会を設けています。若者の日本酒離れが進むなか、学生たちは酒蔵を訪れて日本酒について学び、国内外で魅力を発信しています。具体的な活動の内容や、その意義について、聞きました。(写真=関西学院大学提供) 【写真】全国の酒蔵が集う、神戸で開催された日本酒フェスに出店したことも
留学をきっかけに日本酒に興味
木本教授がゼミの学生と2014年から取り組んでいるのが「関学・日本酒振興プロジェクト」です。日本酒の国内出荷量は数十年にわたって減少傾向が続いています。関西学院大学がある兵庫県には、「灘五郷」と呼ばれる日本酒の名産地があることから、日本酒の需要を増やすために貢献できることはないだろうかとプロジェクトを始めました。 きっかけになったのは、西宮市が主催したビジネスアイデアコンテストで学生が提案した、日本酒をジンジャーエールで割って飲みやすくした商品を販売するというプランが準優勝したことでした。木本教授はそのプランを実行に移そうと、酒造会社の協力を得てプロジェクトをスタートしました。 コンテストで提案した商品をさらに改良しようと、学生たちは地元のバーテンダーに相談。そこで生まれたのが、日本酒とジンジャーエール、ライム、ミントを使った「宮モヒート」という創作カクテルでした。通常のモヒートよりアルコール度数が低いので飲みやすく、日本酒の香りも楽しめます。バーテンダーから作り方を教わり、14年の「西宮酒ぐらルネサンスと食フェア」で販売しました。以来、さまざまなイベントやアメリカンフットボール部の試合などで、日本酒カクテルのブースを出したり、試飲会を開いたりしています。これまでに連携してきたのは、灘五郷や伏見などの酒造会社である、白鷹、大関、辰馬本家酒造、日本盛、剣菱、月桂冠、旭酒造、茨木酒造、沢の鶴、西山酒造場の10社です。 「学生の原動力になっているのが留学時の経験です。国際学部の学生は2年から3年にかけて、ほぼ全員が留学します。留学先で日本文化について質問され、日本酒についても尋ねられましたが、20歳を迎える前や直後でもあり、うまく答えることができませんでした。そういう体験をしてきた学生たちが、日本酒のことをもっと知りたいとプロジェクトに参加しています」(木本教授)