灘の日本酒を、大学生が世界へ発信 留学で気づいた日本文化の魅力
会計学を学べば、世界へ視野が広がる
ところで、木本教授が専門とする会計学は、そもそもどんな学問なのでしょうか。 「企業の活動に関わる利益、借金、財産などを測定し、活用するための学問です。各企業が独自の基準で測定するのではなく、どのように測定し、公表するかというルールが必要で、そのルールを検討するのが会計学の重要なところです」 世界で統一されたルールとして国際財務報告基準(IFRS)があり、多くの国の企業はこの基準に沿って会計を行っています。初めて学ぶ人にとって、最初のハードルは高いものの、その基本を修めれば、視野が一気に広がることが会計学の魅力だといいます。「ルールをいったん習得すると、全世界の財務諸表を読んで分析できるようになります」と木本教授。日本酒振興プロジェクトは、見積もりを作って発注する、売り上げを予想するといった会計について、実践的な学びの場にもなっています。
人の役に立つために能力を磨く
木本教授の教育上の信念は、関西学院がスクールモットーとして掲げる「Mastery for Service(奉仕のための練達)」と重なります。「社会や人の役に立つために自分の能力を磨きなさい、という意味です」(木本教授)。中学部から大学院まで関西学院に通った木本教授も、長年このモットーをよりどころに、会計学を通して学生を育てる教育を志してきました。そして学生にもこの精神を身につけてほしいと願います。 「大学選びにあたっては、知名度や偏差値だけではなく、その大学に通ったら自分はどう成長するかという観点を持つといいと思います。お金儲けや出世を考え出すと自分の目標がブレますが、だれかの役に立つということを中心に置くとブレません。卒業後の長い社会人生活も、後悔することなく送れるのではないでしょうか」 プロフィル 木本圭一(きもと・けいいち)/関西学院大学国際学部教授。関西学院大学商学部卒、同大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。近畿大学短期大学部助教授、関西学院大学商学部准教授などを経て、2010年から現職。専門は会計学。会計基礎理論、企業分析、会計教育などを研究している。
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