コロナ禍の営業に苦悩も「街のみなさんと頑張る」菓子半額販売も再開 大阪・通天閣社長の思い
街のみなさんのことを思うと「やりつづけなアカン」と思って
6日の近畿地方は青空が広がる好天に恵まれたが、大阪を代表する観光地スポットである新世界(大阪市浪速区)の人通りはかなり少ない。新型コロナウイルス対策のため、国の緊急事態宣言が8日から1か月延長されることが決まるなど、観光業にとっては厳しい状況が続いているが、大阪のシンボル「通天閣」はいつもと変わらず営業を続けている。通天閣観光の高井隆光社長は「外出自粛要請の中、お客様を呼び込むことはできない。けど営業を続ける新世界の飲食店や取引業者さんの気持ちを思うと、やりつづけなアカンと思って。明けない夜はないので、少しでも元気を発信していきたい」と熱き思いを語ってくれた。 【拡大写真】通天閣46歳社長こと高井隆光さん 毎日ビリケンさんにコロナ終息を祈るのが日課だ
昨年度まで10年以上年間入場者数100万人以上をキープしてきた通天閣
通天閣は、2007年度から年間入場者数が100万人を超えてきた。昨年度も1月から3月は新型コロナウイルスの影響を受けたものの、かろうじで100万人を超えることができたが、2020年度は4月から約2か月、緊急事態宣言下で休業を余儀なくされ、その後も客足は前年とは比べものにならないほど落ち込んだ。 「現在も営業は続けていますが、平日の入場者数は約100人です。ちょうど昨年の2月半ばくらいからコロナの影響が出だしたので、もう1年になりますね」と高井社長。それまでは「どんなにヒマ」と言っても最低1日3千人の入場者があったことを思えば、今は信じられない状況だ。
通天閣入場無料スペースで再び土産物菓子半額販売を再開
しかし、下を向いてばかりはいられない。5日からは通天閣地下入り口の入場無料スペースで、土産物菓子の半額販売を再開した。 この半額販売は、通天閣の土産物菓子卸売業者が近畿各地の観光地に卸している菓子の多くが返品となり、処分にも費用がかかって困ると業者のグチを聞いたことがきっかけで「どうせ処分するなら、うちで半額で売りましょう」と昨年春に実施。各マスコミでも、コロナ禍における新たな取り組みとして取り上げられるなど話題となった。 その後「GoToトラベル」の影響で、客足も少しずつ戻るなどし、この菓子販売は昨年夏ごろ一旦休止していたが、緊急事態宣言の再発令により、再び各地で土産菓子が売れ残る事態に。返品引き取り作業に奔走する業者の様子をみて、高井社長は再び、通天閣での半額販売再開を決意した。