コロナ禍の営業に苦悩も「街のみなさんと頑張る」菓子半額販売も再開 大阪・通天閣社長の思い
緊急事態宣言延長を受け、各地の土産物店の返品が増加したこともきっかけ
5日には、業者から各地の土産物店から返品されたトラック2台分の菓子が通天閣に運びこまれた。菓子の箱を見ると、大阪をはじめ姫路や三重、和歌山といった近畿やその近県の土産物菓子がズラリ。高井社長によると、これは緊急事態宣言の延長を受け、売れる見込みがなくなったため返品増加につながったのだという。 「期間が短くなる可能性があるとはいえ、緊急事態宣言の延長となると、休業をされるお店もあり、売れる見込みがなくなったため、返品につながったんです。だから、今回は2月から3月分の菓子を一手に引き受けました」と高井社長。 卸売り業者は返品されたものを賞味期限まで倉庫においても後に廃棄することになる。日が経ちそれを廃棄する場合は、さらに費用がかかる。そこで、そうした食品ロスを抑え、互いに助け合っていこうと、通天閣と業者の間で思いが一致して、今回の半額菓子販売の再開に至った。
外出自粛要請の中の営業は辛いが、感染対策を万全にして奮闘
販売スペースは、入場料がいらない地下の入り口付近。ただ、人が密になってはなにもならないため、換気の徹底、モニターですぐにわかる検温システム、マスク非着用の人は入場を断るなど、できる限りの対策もしっかり行っている。 高井社長は「緊急事態宣言があり、外出自粛要請があり、積極的に日とも呼べない中での営業は正直辛いところもあります。けど、土産物の業者さん、そして休業する飲食店が多い中、コツコツ営業を続けている新世界の飲食店のみなさんのことを考えると、なにかをやり続けなければならないと思います」と力強く話してくれた。
希望は、大阪府が決定した宣言解除の独自の基準
しかし、少し明るい兆しとしては大阪府が今週発表した、国に緊急事態宣言の解除を要請するための独自の判断基準を決定したことだ。 高井社長は「先が見えないのは不安なので、その中でも解除基準を数値化していただいたのはありがたい。僕らもそれに、向かって走れるなあと思います」と語る。
開催悩んだ豆まきも「できてよかった」
今月1日には、通天閣で恒例の「節分豆まきイベント」が行われた。現在の2代目通天閣が建設された翌年から、ずっと続けてきた恒例行事だ。昨年12月、こちらも長年続けられてきた「干支の引き継ぎ式」を中止したこともあり、今回も開催には悩んだそうだが、高井社長はさらなる感染対策の徹底を図り、豆まきを行わず、来場者のソーシャルディスタンスをとりながら、机の上に置いて渡す非接触式の配布を行った。