「警察に届けを出すぞ、誠意を見せろ」…ウチの子がケガをさせたヨソの子の親から凄まれた時の"適切な返し方"
子どもがよその子を大ケガさせてしまった――。 このとき、自分の子どもが加害者であることが確定している場合は、まずは速やかに謝罪を行うことです。最初から「代理人を入れるので、そちらから連絡をさせます」とすると、むしろ話がこじれるのでやめておきましょう。直接謝罪を行い、そのうえで「必要な治療費はこちらで支払わせてください」と言うと、こちらの謝意が伝わりやすいと思います。 ケガをした状況が明らかではない場合、自分の子どもから聞いた話だけだと客観的な事実と異なる可能性があります。後から「実はこんな重大なことが起きていて、これだけのケガが生じていた」など、こちらが知らなかった事実が出てくることもあるので、まずは事実の解明をするのが先決です。 治療費について相手から請求があり、その請求額が根拠に乏しかったり、想定していた金額とかけ離れていたりした場合、加害者だからといって言いなりになる必要はありません。「こちらはこういう状況でこういったケガをさせてしまったという認識です。この金額はどういう根拠でこのようになったのでしょうか」など、改めて確認しましょう。 そして前提となる事実にあまりに大きな齟齬(そご)が生じている場合は、第三者を含めた話し合いをしてください。客観的に事実の解明をするには、やはり専門家の力を借りたほうが望ましいです。その際、学校関係者にも報告をしてください。同じ学校の生徒同士のケンカなら、事件が生じた場面によっては学校側にも管理責任が生じる場合もあります。 ■「誠意を見せろ」には要求金額を言わせる お互いがケガをした場合は、ケガの程度が関係してくると思います。似たようなかすり傷であれば「じゃあ痛み分けだね」「お互い悪かったね」で終わるかもしれませんが、どちらかのケガが重症ならば、一方の当事者から他方に対する賠償責任が発生します。 慰謝料については、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行する『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称、赤い本)内の、入通院慰謝料の算定表が一つの目安となります。例えば通院期間1カ月だと慰謝料は28万円、入院1カ月だと慰謝料は53万円ほどとなっています。 ただし、実際の裁判ではさまざまな要素に基づいて金額が変わります。暴行がただ平手で殴っただけなのか、金属バットを用いたのかといった態様によっても異なるでしょう。裁判例を見ていると、ケガの程度だけでなく、暴行によって被害者が受けた精神的な損害を重視しているように感じます。体格差や加害行為が行われた回数、期間などを総合的に考慮し、客観的な傷害の事実に加え、精神的に生じた損害によって、基準額を増額したり減額したりするのです。