考察『光る君へ』18話 道兼の死に涙するとは…玉置玲央に拍手を!まひろ(吉高由里子)は人気ないらしい道長(柄本佑)に「今、語る言葉は何もない」
さわは「筑紫の君」
さわ(野村麻純)が父が肥前守となったので京を離れ、肥前(現在の佐賀県と長崎県)に。 さわはやはり、『紫式部集』に登場する「筑紫の君」らしい。筑紫とは、現在の九州である。 『紫式部集』には、姉妹のように仲良くしていた友人が、父の仕事により筑紫に向かう時に詠み交わした歌が記されている。 筑紫の君 西の海を思ひやりつつ月見ればただに泣かるる頃にもあるかな (これから向かう西の海を思い浮かべながら月を眺めると、ただ泣けてしまうこの頃です) 紫式部 西へ行く月の便りにたまづさの書き絶へめやは雲の通ひ路 (西に向かう月があるのです。それに乗せて、あなたに手紙を届けます。雲の通い路を辿るその便りは書き絶えたりするものですか) 筑紫の君は、紫式部の大切な友人だ。手紙のやり取りで彼女のいる地のことを読み知ったのか、いつも思いを巡らせていたのか。『源氏物語』には筑紫で育つ姫君や、筑紫に関係した人物が複数登場する。 「俺にも当分会えないから泣いてたんだ」という惟規(高杉真宙)に、それは昔のことだと、「よき思い出でございます!」ときっぱり良い笑顔で言い切るさわ、大好き。 彼女が出てこなくなると思うと、とても淋しい。まひろの言う通り、再会を願っている。
ふたつの源氏家族
道長が大納言から、内覧兼任の右大臣に昇進。左大臣はいないので関白にならないまま、政の頂点に立ったのだ。 土御門邸で語らう、倫子と穆子(むつこ/石野真子)の母娘。 「女院さまをこの屋敷で引き受けたのが大当たりだったわね」 「私も一度は『えー』と思いましたけど、何が幸いするかわかりませんわね」 「えー」て思ったんだ……と、ちょっと笑った。そりゃ思う、日本で一番強い小姑で、もう一人の妻・源明子(瀧内公美)の後見である。 そして、その明子の高松殿では、兄の源俊賢(本田大輔)が、 「俺のこと、褒めておけよ」 「褒めるところがございませんけれど」 なんだかんだいって、こちらもなかよし。倫子と穆子、明子と俊賢。会話の内容はちょっとえげつないのに、なんとなくほっこりのんびりした雰囲気の、ふたつの源氏家族(穆子は源氏ではないが)。 そう。藤原道長のバックについてるのは、源氏なんですよ……と強調する場面だった。