日銀・黒田総裁会見10月29日(全文1)景気は持ち直している
必要と判断すれば資金繰り支援策を延長する
また、2番目の企業の資金繰り支援策についてでございますが、現在行っております新型コロナ対応特別オペとCP・社債等の増額買い入れから成ります日本銀行のいわゆる特別プログラムというものは、政府の政策、あるいは金融機関の取り組みなどと相まって効果を発揮しているというふうに考えております。先ほど申し上げたように企業などの資金繰りにはまだ、厳しさは見られておりますけれども、外部資金の調達環境は緩和的な状態が維持されておりますし、こうした下で銀行貸出残高の前年比伸び率は約30年ぶりとなる6%台で推移しておりますし、また、社債あるいはCPの発行残高も前年比10%を超える、2桁の高い伸びが続いております。 この特別プログラムは2021年3月末までの時限的な措置としておりますけれども、今後の感染症の影響などを踏まえまして、必要と判断すれば期限を延長するという考えに変わりはありません。具体的な判断のタイミングについては今後の情勢を踏まえて適切に考えてまいりたいと思いますけども、先ほども申し上げたように必要と判断すれば期限を延長するというつもりでございます。以上です。 日本経済新聞:ありがとうございました。それでは各社お願いいたします。
各国金融政策のばらつきによる影響は
ロイター:ロイターの木原ですけれども、よろしくお願いします。海外発のリスクというのは依然、非常に不透明感が高いということなんですが、世界を見渡すと欧米のように感染の拡大が続いている地域と、アジア、とりわけ中国のように感染が収まって回復に向かっている国、あるいは同じアジアの中でもインドのように感染拡大が止まらなくて経済が大きくマイナス成長のままというふうに、国ごと、地域ごとのばらつきが大きくなっていると思うんですが、そうした中、各国の金融政策運営の在り方、また、そういう金融政策や財政政策の運営が、今後少しばらつきが出てきた場合、市場にどういう影響を及ぼしうるのか、ちょっと長い目で見た場合どうなりそうなのか、その辺をお願いします。 黒田:これはなかなか難しいご質問なんですが、感染状況と経済状況はご指摘のとおりでありまして、欧米で感染が再拡大しているわけですけども、経済動向を見ますと米国の経済はかなり順調に回復しておりますし、欧州の場合も、先ほど申し上げたように公衆衛生上の措置を再び導入した国もありますけども、それらの国も含めて、春先のような全般的な徹底したロックダウンというのではなくて対象を絞った形で、経済の回復との両立を図りながらやっておりますので、米国の経済は順調に回復していますし、欧州の場合も、米国より緩やかではありますけれども回復基調が続いていると。 それから中国は、ご指摘のように極めて順調に成長率を伸ばしておりまして、これは感染症の拡大を一番早く、ほぼ完全に収束させたという下で、さまざまな経済政策を打って経済が順調に成長しているということで。他方、一部の新興市場国等ではまだ感染拡大が続いており、経済の持ち直しはインドも含めて見られるわけですけれども、その回復の度合いは非常に緩やかでありますし、今後の金融政策と財政政策の余地という面では先進国や中国などは十分な余地がありますが、途上国の一部ではその余地もある程度限られている可能性はあるということでありますので、そういったことから途上国を含めて、そういう国々の経済、あるいは金融の実情というものはよく注視していく必要があるというふうに思っております。 ただ、リーマンショックのときとか、それから90年代の終わりのアジア通貨危機のような、そういう状況が途上国に直ちに発現するというふうには見ておりません。ただ、注視していく必要があるというふうに思っています。