日銀・黒田総裁会見10月29日(全文2)2%目標は変える必要なし
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の29日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が会見 大規模な金融緩和策を維持(2020年10月29日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が会見 大規模な金融緩和策を維持(2020年10月29日) ◇ ◇
どういう条件になれば出口を示すのか
朝日新聞:朝日新聞の寺西です。関連なんですけども、ETFの買い入れというのは白川前総裁時代から始められて、もう丸10年になりますけども、そのETFの買い入れというのがまったく終わる気配がないというか、先ほどの時事通信さんの質問にも絡むんですけども、出口というのが、どういう条件になれば出口を示していくのか。また、出口といった場合、保有額をどのようにして減らしていくのか、その辺り、総裁、お考えがございましたらぜひお聞かせください。 黒田:これは先ほど来、申し上げているとおりでありまして、金融市場の動向に注意して、不安定な動きなどがあった場合にそれを防止するという意味で、特に2月下旬以降、市場が不安定化する中で、その不安定な動きを緩和する効果があったというふうに考えております。従いまして当面これを続けるということでありますけれども、もちろん経済およびマーケットが安定してくれば当然その出口についても議論するということになると思いますが、この措置はいわゆる長短金利操作付き量的・質的金融緩和という全体のフレームワークの中の一環でありまして、やはり経済動向、そして特に物価の動向を踏まえて、そういったことも将来検討していくということになろうと。 今のところ、引き続き量的・質的金融緩和全体、長短金利操作付き量的・質的金融緩和全体のフレームワークの中で引き続き必要な要素であると、政策であるというふうに考えております。
金融緩和の効果より副作用が上回っていないか
ブルームバーグ:すいません、ブルームバーグ、伊藤です。先般公表されました金融システムレポートでは、リスクシナリオではあるんですけれども、景気の停滞が続けば資金需要の低迷と金融機関の資本制約によって22年度にも貸し出しが減少に転じるとの分析が示されました。資本制約を背景に貸し出しが減少するような状況は金融緩和の効果よりも副作用が上回っているとも考えられるんですが、この点について総裁はどのようにお考えでしょうか。また、そのような状況を回避するために金融システム面に配慮したなんらかの政策対応が必要になる可能性について、現時点で総裁はどのようにお考えでしょうか。 黒田:ご指摘の10月の金融システムレポートで示しておりますとおり、わが国の金融システムは景気改善がかなり緩やかなものにとどまると想定しても、相応の頑健性を備えているというふうに評価をしております。ただ、仮に今後景気が長期にわたり停滞し、そのことを受けて金融市場も大きく調整するような厳しいストレス事象が発生する場合には、確かに金融機関の体力の低下によりまして金融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、さらには実体経済への下押し圧力として作用するリスクがあるという点は留意が必要だというふうに考えております。 もちろん現時点では、政府および日本銀行による思い切った政策対応がありまして、こうしたリスクは大きくないというふうに判断はしておりますけれども、日本銀行としては今後とも感染症拡大が金融システムに与える影響をもちろん油断なく点検していくつもりでありますし、さまざまな可能性につきまして当然、金融庁とも引き続きよく連携しながら必要な対応はしてまいりたいというふうに考えております。