なぜ阪神は逆転サヨナラ負けで27年ぶりの開幕4連敗を喫したのか…2試合救援失敗のケラーと湯浅の緊急配置転換は正解か
「ケラーのストレートはまだ本来のものではないのかもしれないが、カーブの軌道は、いわゆるハンガーカーブで打者はストレートのタイミングで十分に対応できるボール。落差がない。ストッパーに多くの球種は必要ないが、狙って空振りを取れるウイニングショットがなければ苦しい。そもそも論ではあるが、編成担当は、ケラーのどのボールを見て獲得を決めたのだろうか。9回のベンチの動きにも迷いが見えた。ケラーに打ち取るボールがないと判断したのであれば、上本を歩かせたところで交代だろうし、開幕前にケラーをクローザーでいくと判断したのであれば、最後までケラーで良かったのではないか。湯浅にダメージを与える必要はなかった」 池田氏は、緊急配置転換については「仕方がない」としたものの湯浅の守護神指名には疑問を抱く。 「経験と実績を考えればセットアッパーの岩崎をクローザーに持っていくのが妥当ではないか。あるいは、当面は、相手打線との左右の巡り合わせを考えて湯浅との2人体制でもいいのかもしれない。経験のない湯浅をクローザーだと決めてしまうことには不安が残る。先発に青柳、ガンケルが戻ってくるのであれば、開幕カードの先発で5回まで好投した小川、桐敷の2人を中継ぎに回してブルペンを厚くすることも考えねばならないだろう。岩貞、及川、アルカンタラらが開幕に揃わなかった影響の大きさは理解できる。厳しい意見かもしれないが、キャンプ、オープン戦を通じての見極めと準備は十分だったのかと問いたい」 昨季42セーブを挙げたスアレスの抜けた穴をどう埋めるかが阪神の今季の最大の課題だった。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ケラーの来日許可が3月にズレこみ、オープン戦登板は2試合のみで“ぶっつけ本番”に近い形で、スアレスの代役守護神に指名した。岩崎の調子が上がってこない問題もあったのかもしれないが、そもそも開幕前に決めた、この新勝利方程式が間違っていたのかもしれない。また打線が、そういうチームの弱点が整備されるまでカバーすればいいのだが、7回二死二、三塁、9回二死二、三塁と2度あった追加点機にいずれも5番の糸原がブレーキになったことも響いた。開幕4試合で勝ちパターンのゲームを2つも落としたのはあまりに痛い。早急に中継ぎ、抑えを整備しなければ取返しがつかないことになるだろう。 開幕4連敗は、開幕5連敗を喫した1995年以来、27年ぶりとなる。その年、開幕ダッシュに失敗して、下位に低迷した阪神は、7月に故・中村勝広監督が途中休養に追い込まれ、心機一転、当時の藤田平2軍監督が監督代行を務めて巻き返しを狙ったが最下位に終わっている。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)