<ノーベル賞>3年連続で日本人受賞なるか? 日本科学未来館が予想
今年もノーベル賞の季節がやってきた。今日10月3日夜(日本時間)の生理学・医学賞を皮切りに、物理学賞、化学賞と発表が続く。少なくとも自然科学系では、日本で最も知られている賞ではないだろうか。 【図】今年「医学生理学賞」を受賞した東工大・大隅氏の「オートファジー」の研究とは? 一昨年は赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が物理学賞、昨年は大村智氏が生理学・医学賞、梶田隆章氏が物理学賞を受賞した。3年連続となれば、2000~2002年の3年連続以来のこととなる。 日本科学未来館の科学コミュニケーターは自然科学3賞について毎年、その年の受賞にふさわしいと思われる研究を3つずつ紹介している。
路線が変わった? 昨年の受賞テーマ
「賞を通して、メッセージを発信できるって、強いよね」 昨年の受賞者発表のあとに、国際事情通の同僚に言われた言葉である。平和賞や文学賞はメッセージ性の強さを(その是非は別として)よく指摘されるところだ。しかし、同僚のこの言葉は、生理学・医学賞に関してだった。大村智博士が受賞者として名を連ねた昨年の生理学・医学賞は、途上国にいまも蔓延する(けれども欧米ではあまり問題にならない)熱帯病の治療薬が受賞テーマだった。 ノーベル賞の歴史をひもとくと、創設当初の20世紀初頭のころはジフテリア、マラリア、結核と、感染症がテーマになっていることに気づく。ビタミンなど栄養に関する研究もある(時代背景として、熱帯病や栄養不良に悩むアフリカやアジアの国々が列強の植民地だった点は指摘しておきたい)。 だが、近年では細胞レベルや分子レベルでの生命現象の基礎的な研究が多く、医療に直結するテーマも、がんや生殖補助医療など先進国でより重要視されているテーマが大半を占めるようになった。 この路線のまま進むと思っていたら、昨年の熱帯病である。「顧みられない熱帯病」などとも呼ばれ、世界保健機関(WHO)や主要国首脳会議(サミット)が取り組むべき課題として近年挙げているが、その呼び名が示す通り、多くの人が注目しているとは言いがたい。そうした現状の中でのノーベル賞だった。ここに、国際事情通の同僚はメッセージ性を感じたのだろう。これが思い込みなのか卓見なのかは、今年以降の受賞テーマで明らかになっていくはずだ。