<ノーベル賞>3年連続で日本人受賞なるか? 日本科学未来館が予想
《化学賞》 発表は10月5日(水)18時45分~
毎年「何が来るのかまったくわからない」といわれるのが、化学賞だ。そもそも分野が広すぎる。昨年の「DNA修復機構の解明発見」や2012年の「Gタンパク質受容体共役受容体の研究」は生理学・医学賞での受賞でもおかしくないし、2014年の「超高解像度蛍光顕微鏡」や2011年の「準結晶の発見」は物理学賞でもおかしくない。20132年のシミュレーション研究も「典型的な化学の研究」からはやや外れているように思う。 だからというわけではないが、未来館の科学コミュニケーターが挙げたのは、触媒や合成など、いずれも「これぞ、化学!」というテーマだ。ノーベル賞の創設者アルフレッド・ノーベルは、「人類のために貢献した人」に賞を贈るようにと遺言している。彼は化学者としてダイナマイトの開発をしたが、兵器として利用されたことはご存知の通りだ。「化学は人を幸福にするものであってほしい」。化学を学んだ科学コミュニケーターだからこそ、その思いは大切にしている。 ■ドラッグデリバリーシステムへの貢献と組織工学の提唱(ロバート・ランガー博士) 画期的な投薬システムを提供。すでに多くの患者がその恩恵を受けている。また、細胞から臓器や組織をつくり上げる手法も提唱。 ■本多-藤嶋効果 ( 酸化チタンの光触媒能 ) の発見(藤嶋 昭博士) 光を受けた酸化チタンが触媒効果を発揮し、汚染物質などの分解に役立つことを発見。ビルの外壁など、用途は生活のさまざまな場面に。 ■自己組織化分子システムの創出および応用(藤田 誠博士) 「自分たちで組み上がることのできる性質」をもつ分子を巧みに利用し、新しい発 想の巨大分子合成法を開発。できた分子は科学のさまざまな分野で活躍が期待。 ・個々の研究の詳細は「化学賞」の予想記事へ
未来館では発表の瞬間に生番組
受賞者の発表は、スウェーデンを代表する研究機関であるカロリンスカ研究所(生理学・医学賞)とスウェーデン王立科学アカデミー(物理学賞、化学賞)で行われる。歴史を感じさせる重厚なインテリアの部屋と、受賞者の名前を聞いたときの各国の記者たちの反応も見所の1つだ。未来館では発表の瞬間をニコニコ生放送で皆さんと一緒に迎える番組を放送する。こちらも、お楽しみいただければ幸いだ。
-------------------------------------- ◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 詫摩雅子(たくま・まさこ) 1964年生まれ。日本経済新聞科学技術部、日経サイエンス編集部を経て、2011年より現職