「孤独・男性・中年」無差別殺傷事件に共通するキーワード “不審者”監視システムの功罪とは
では、どうすればいいのか。小宮教授は「やや遠回りかもしれませんが」と前置きした上で、「社会が変わる必要がある」と強調する。 「中期的に効果があると考えられるのは経済格差の解消です。もし安倍元首相事件の加害者がしかるべき企業の正社員で生活が安定していれば、たとえ親の宗教問題があったとしても状況は違ったのではないでしょうか。また長期的には、多様性を認める社会への転換が必要です。孤独な人が罪を犯しやすいと言われますが、孤独そのものが悪いわけではありません。孤独でもないがしろにされず、経済的に安定して生活できる社会をつくるべきだと思います」
-------- 緑慎也(みどり・しんや) サイエンスジャーナリスト。1976年、大阪府生まれ。出版社勤務後、月刊誌記者を経てフリーに。科学技術を中心に取材・執筆活動を続けている。著書に『13歳からのサイエンス』『消えた伝説のサル ベンツ』、『認知症の新しい常識』、共著に『太陽系の謎を説く』、『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』『ウイルス大感染時代』など。新著に『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』(講談社、NHKスペシャル取材班との共著)