「子どもの視点に立った調停をしてほしい」長期化する離婚・面会調停、当事者が家庭裁判所に望むこと #こどもをまもる
毎年、およそ18万人の子どもが親の離婚を経験する。どちらが子どもの親権を持つか、監護するか、面会交流は、などについて夫婦間で協議が整わない場合、家庭裁判所を利用することになるが、その運用に不満を抱く当事者は多い。ある男性はもう4年以上も家庭裁判所通いを続けている。「妻もぼくも子どもも誰も幸せになっていない。ただ時間ばかりが過ぎる」。離婚・面会調停の当事者が家裁に求めるものとは。(取材・文:上條まゆみ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
このままでは一生子どもに会えないかもしれない
「え、またそこから?」 関東近郊に住む会社員、沖田裕二さん(仮名、45)は、この春異動してきたばかりの家庭裁判所の裁判官に「離婚事由から確認したい」と言われ、激しい徒労感に襲われた。 「『記録は引き継いでいるが、自分で聞きたい』と言われました。今までの聞き取りはなんだったんだと思いますよね。2019年4月に調停を始めて、4年4カ月で裁判官が4人も代わっているんです」 沖田さんは月1回1時間の子どもとの面会交流のために、自宅から400キロも離れた地方都市に車で通う日々をもう1年以上も続けている。 子どもと会うときは、妻の希望で面会交流支援団体の付き添いがつく。レンタルルームを借りてゲームやおもちゃで遊ぶときも、室内に支援員がいる。 「DVも虐待もないのに、なぜ付き添いが必要なのでしょう。わずか1時間しか子どもに会えないのも理不尽だと感じます。家庭裁判所調査官の調査では、子どもは『もっとパパに会いたい』と話していたのに。妻には婚姻費用を払っているうえ、面会交流支援団体の費用もレンタルルーム代も、もちろん交通費も宿泊代もこちらもちです。子どもの養育のためにためておきたいお金なのですが……」 2019年1月、沖田さんの妻は当時5歳の子どもを連れて家を出たまま、帰ってこなかった。妻から離婚調停を申し立てられると、沖田さんはすぐに面会交流と子の引き渡し、保全処分を申し立てた。 「離婚はともかく、子どもと離れたくありませんでした。家計は9割以上、家事・育児も4割くらいはぼくが担当していたし、休日は父子で外遊びをして過ごすことも多く、子どもとは仲がよかったんです。面会交流や子どもの養育について取り決め、しっかり子どもと会えるようにしてから、離婚の話し合いをしたいと思いました」