「大阪都構想」が想定する4つの特別区とは? 24の行政区を再編
政令指定都市である大阪市を廃止して、特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が11月1日に迫っています。賛成多数となった場合は、2025年1月1日から4つの特別区が新設されることになります。特別区は一体どのような区割り案になっているのでしょうか。 【画像】大阪市・松井市長が定例会見10月22日(全文2)府が担えば消防車来なくなるの?
大阪市を廃止し4特別区に 区長公選や議会設置
大阪市には現在、北区や淀川区など24の「行政区」があります。ですが、区長は選挙ではなく市が選び、区独自の議会もありません。これに対し、「特別区」は基礎自治体である市町村と同じように区長を住民が選挙で選ぶほか、区議会も設置されるので独自の条例制定が可能、という違いがあります。 前回2015年5月の住民投票では僅差で否決されましたが、この時は特別区を5つ設置する区割り案でした。今回は、2017年6月9日に大阪市と大阪府が共同で設置した大都市制度(特別区設置)協議会(=法定協議会)で検討を開始。人口のバランスや財政基盤の均衡化を考慮して、「淀川区」「北区」「中央区」「天王寺区」の4つの特別区を設置する案にまとまりました。区の名称は、方角や位置などをもとに市民にとって親しみやすく分かりやすくすることを踏まえたと大阪市は説明しています。 各区の本庁舎には、淀川区が現在の淀川区役所、北区は現在の大阪市本庁舎、中央区が現在の中央区役所、天王寺区も現在の天王寺区役所を使用するなど、大阪維新の会は特別区設置に伴う初期費用をできるだけ抑えるとしています。その他の区役所についても、住民票などの交付や各種申請を受け付ける窓口サービスなどを行う事務所として活用する方針です。 各区議会の議員定数は、現在の市会議員の各区の定数をもとに割り振った結果、淀川区が18人、北区・中央区が各23人、天王寺区が19人となっています。なお、4区の区議会議員数の総数は、現在の市議会と同じ83人です。
大阪万博会場の夢洲は新「淀川区」に
それでは、4つの特別区について詳しく見ていきましょう。 現在の此花区、港区、西淀川区、淀川区、東淀川区の5区が統合される「淀川区」は、大阪の玄関口である新大阪駅が主要駅。リニア中央新幹線の延伸も予定されており、さらなる発展が期待されています。区内にはこのほか、水族館の海遊館やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、2025年に開催予定の大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま)もあります。面積は4区内でもっとも広い67.24平方キロメートル。人口は逆に最も少ない59万5912人です(2015年国勢調査より)。 「北区」には、現在の北区、都島区、福島区、東成区、旭区、城東区、鶴見区の7区が含まれます。にぎわいの中心となるのは、大阪ではミナミと二分する集客力を誇るキタの繁華街です。中之島界隈にはオフィスビルが立ち並び、大阪駅北側では貨物駅跡地の再開発が進みます。一方、区の西側の地域には千林商店街に代表される庶民的な街並みが広がっています。面積は48.5平方キロメートル、人口は4区内で最も多い74万9303人(2015年国勢調査より)です。 「中央区」は、現在の中央区、西区、大正区、浪速区、住之江区、住吉区、西成区の7区から成ります。繁華街のミナミを有するほか、御堂筋、堺筋周辺など区の北部はビジネス街で、大阪城の周辺は官公庁街となっています。このほか、区内には大阪を象徴する建物である通天閣や、年末年始に毎年多くの参拝客が訪れる住吉大社、プロ野球のオリックス・バファローズ本拠地の京セラドーム大阪も。面積は65.28平方キロメートル、人口は70万9516人(2015年国勢調査より)。 「天王寺区」は、現在の天王寺区、生野区、阿倍野区、東住吉区、平野区の5区で構成されます。主要駅である天王寺駅及び大阪阿部野橋駅付近には、地上300メートルと日本一の高さを誇る高層ビルのあべのハルカスや、1915(大正4)年1月1日開園という長い歴史を持つ天王寺動物園があります。区内には、Jリーグのセレッソ大阪の本拠地、ヤンマースタジアム長居も。面積は44.22平方キロメートルと4区内で最も小さく、人口は63万6454人です(2015年国政調査より)。