「痰が絡み咳をして気失った」車が病院に突っ込み女性2人死亡「無罪主張」する男 事故前に1、2度気失うも運転やめず「たまたまなんかな」遺族は「気を失っていても2人を殺した。私にとっては殺人事件」
大阪市生野区で病院に車が突っ込み、高齢女性2人が死亡した事故をめぐり、過失運転致死の罪に問われ、無罪を主張している男(73)。裁判で「痰が絡んで、咳をして気を失ったことが原因だ」と明かした。一方、遺族は「気を失っていたとしても、2人を殺した。私にとっては殺人事件だ」と話し、重い刑罰を求めた。 【画像を見る】車に乗る呉被告 起訴状などによると、呉昌樹被告(73)は2023年3月、大阪市生野区で通院先のクリニックから帰宅するために乗用車を運転中、道路を逆走。さらに歩道を乗り越えて生野愛和病院に突っ込み、黒田シマ子さん(当時86)と口池邦子さん(当時75)をはねて死亡させたとして、過失運転致死の罪に問われている。 今年3月の初公判で呉被告は「事故を起こしたことは認めるが、すでに気を失っていたため過失はなく無罪」と主張。12月12日、大阪地裁で行われた被告人質問で、腰が少し曲がった状態でゆっくりと歩きながら法廷に姿を現した呉被告は、自身の体調や事故当時の状況などを明かした。
車の運転は18歳から、免許は「ゴールド」違反は「した記憶はない」
開廷後まず被告が問われたのは、これまでの運転状況についてだった。18歳の時に取得したという免許は、事故当時はゴールドで、ほぼ毎日運転していたという。 弁護人「(事故を起こす前)運転をするなかで、違反をしたこととかは?」 被告「いや、そんなにした記憶はないですね」 弁護人「運転をしていて、危ないと思ったことはありますか?」 被告「ありません。決してありません」
事故より前に「家で1、2回気を失ったことがある」が…「たまたまなんかなと」運転はやめず
弁護人は続いて、これまでの呉被告の体調面について尋ねていく。呉被告は6年くらい前に軽い脳梗塞になったものの、歩行や運転に支障はなかったと話した。ただ、よく痰がのどに絡むことがあり、咳をすることがよくあるという。そう話す呉被告は、時折咳込んでいた。 弁護人「痰が絡むのはなぜですか?」 被告「肺気腫と気管支炎です」「昔たばこをよう吸っていたから、それやと思います」 弁護人「咳をして意識を失ったことは?」 被告「3年くらい前に、家で(あります)」「ベッドに座って上を見ていて、咳込んで、咳をしている間にベッドから滑り落ちた」 弁護人「そのような意識を失ってしまうという出来事は何回くらいありましたか?」 被告「いやー、1、2回くらいだと思います。そんなに頻繁じゃありません」 家で意識を失っていたことを妻から聞いて知ったという呉被告だが、救急車を呼んだり、病院を受診したことはなかったという。 検察官「意識を失った2回目というのは、どういう状況だったんですか?」 被告「あったような、なかったような…」 検察官「覚えていないんですか?」 被告「はい…」 検察官「そういった(咳をして意識を失う)ことがあったのに、運転をやめようとは思わなかったんですか?」 被告「いや、たまたまなんかなと」「そのときたまたま痰が絡んで、咳をして...うーん、どう言うたらいいかな」