新型コロナは「11波」鮮明でさらに拡大も 幼児の感染症も増加し、厚労省が注意呼び掛け
厚生労働省は2日、全国の定点医療機関から7月下旬の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者の数は1医療機関当たり14.58人で、前週比1.07倍だったと発表した。12週連続の増加で流行の「第11波」の状況が鮮明になっている。 コロナ禍では例年、夏休み中の特にお盆明けに感染拡大する傾向を示している。同省は医療費の公費支援が終わって感染症状が出ても検査や診察を受けない「隠れ感染者」も少なくないとみて、今夏のさらなる感染拡大を警戒している。また夏風邪とも呼ばれる手足口病やヘルパンギーナなどの幼児の感染症も増加傾向だ。
高齢者は連日の猛暑で体力を消耗しがちだ。同省や感染症の専門家は、夏休みやお盆休みの帰省などで高齢者に会う予定の人は体調管理に気を付けるよう呼び掛けている。
入院患者は7割が70代以上
同省によると、7月22日~28日までに全国約5000の定点医療機関から合わせて7万2003人の新規感染者の報告があった。感染者数は39都道府県で前週より増加した。
都道府県ごとの1医療機関当たりの人数では、佐賀31.38人が全国最多で、以下宮崎25.98人、熊本25.46人と、九州に集中していた。一方、少なかったのは青森の5.16人、北海道5.95人、秋田6.73人などで、北日本に偏っていた。全国の新規感染者を年代別に見ると10歳未満、50代、40代の順に多かった。 また、全国約500の定点医療機関から報告された新規入院患者数は4579人で、前週比1.19倍だった。年代別では80歳以上が一番多く、以下70代、60代の順。70代以上が入院患者の7割以上を占めている。
同省によると、発症原因ウイルスはオミクロン株の中でも広がりやすいとされる変異株「KP.3」が主流。KP.3は昨年から今年にかけた冬に多く検出されたオミクロン株「JN.1」から派生し、4~5月ごろに主流となった。これまでの変異株より免疫を逃れる力が強く感染しやすいとの分析結果もあるが、症状や病原性はこれまでの変異株と大きく変わらないとの見方が多い。