佐賀県産の部品が初の宇宙へ、製造業6社が「反射器」 衛星に搭載、12月14日打ち上げ
宇宙ビジネス分野への参入に意欲的な佐賀県内の製造業6社でつくる「県宇宙関連業務研究会(STAR WORKS SAGA)」が、宇宙空間で正確な位置が把握できる反射器(リフレクター)を製造した。14日に打ち上げ予定の民間衛星に搭載され、県内企業が手がけた機器としては初めて宇宙に旅立つ。 【写真】佐賀県内企業が製作した「マウントフジ」 県が2021年3月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携協定を結び、宇宙ビジネスの創出や人材育成に向けたセミナーなどを開いてきた。研究会は23年8月の発足で、宇宙関連企業の視察や備品の試作を進めてきた。 反射器はこれまで高価な外国製品が使われることが多かったが、JAXAが安価で高性能なリフレクターとして「Mt.FUJI(マウントフジ)」を独自に開発。直径約11センチ、高さ約3センチで主に金属とプリズムで構成され、地上から800キロ以内の高度をカバーできるという。 国内の宇宙産業の裾野を広げる目的で民間にも計画への参加が呼びかけられ、今夏、同研究会が製造に成功した。研究会理事で、中村電機製作所(佐賀市)の中村善之介取締役は「県内の中小企業が協力し、挑戦開始からわずか1年4カ月で得た成果で、考えられないスピード。今後も日本の宇宙産業を支える地域の一つとなれるよう、挑戦と実績を重ねていきたい」と話す。 研究会に加わるのは同製作所のほか、ワイビーエム(唐津市)▽中山ホールディングス(武雄市)▽田中特殊金型製作所(基山町)▽つくし技研(同)▽田口電機工業(同)-の5社。 マウントフジを載せた民間衛星とロケットは14日に和歌山県串本町から打ち上げられる。県庁の展望ホールでは午前10時から正午まで、無料のパブリックビューイング(PV)が行われる。 (竹中謙輔)