道路は隆起、ひび割れ、陥没…高齢の祖父母を連れ、向かった避難先で起きた想定外のこと
洗濯機の中にいるような揺れ
2024年1月1日16時10分。初詣を済ませ、部屋でリラックスしていると、スマートフォンに緊急地震速報が入った。直後、異様な音が鳴り響き、まるで洗濯機の中にいるかのような激しい揺れが襲ってきた。 【漫画を読む】隆起、ひび割れ、陥没の道路を走り、高齢の祖父母を連れ、向かった先は 穏やかな元日の空気を一変させた、「令和6年能登半島地震」。被災地の一つ、石川県七尾市在住の漫画家によるリアル体験コミックエッセイ『令和6年能登半島地震体験記』(まえだ永吉著 / KADOKAWA)は、1年前の能登半島大地震の体験を綴ったものだ。 地震発生から12分後、気象庁が出した大津波警報で、まえださん一家は全員で避難を決める。各自の迅速な行動で無事、避難先に到着。その後警報が解除され、なんとか家に戻れたものの、水道は使えず、頻発する余震に備えて車中泊を余儀なくされた。 地震発生から1年、改めて当時の被災状況をまえださんの漫画でお伝えする。 第1話「2024年元日、洗濯機の中のような激しい揺れが…能登半島地震で在住漫画家が体験した恐怖」では、地震が起こる前のまえだ家の穏やかな正月の様子と、地震が起きた瞬間、回転の混じった激しい横揺れの中で、まえださんやご家族が、まず何をしたのかなどをインタビューと漫画で紹介した。 第2話は、近所に住む高齢の祖父母を連れて、高台に避難したまえだ家に何が起きたかをお伝えする。 これまでにない大きな揺れを感じ、すぐに屋外に脱出したまえださん一家。まもなく発表された津波警報を聞いて、東日本大震災の時にテレビで見た津波映像がよみがえり、すぐに避難を開始した。
無事に避難。知人の無事も確認したが…
まえださんの住んでいる地区は、海も近く、民家のほかはほとんどが田んぼという。指定の高台の避難所は、広大な田んぼを抜けた先。足が不自由な祖父と長距離は歩けない祖母を連れていくなら、車で行くしかなかった。 余震で家が壊れないかと注意しながら、車の鍵を取りにまえださんが家に入ってみると、中はひどい惨状だった。構わず、とにかく鍵と貴重品を取って、車で出発した。 ひび割れたり、隆起したり、陥没した道路をよけながら、目指す高台に到着。ここなら津波は絶対に届かない。 早めに行動したおかげで渋滞にもはまらず、また、まえださんの友人や、以前働いていた職場の人の安否も確認出来て、ほっとしたのもつかの間。想定外の苦難がやってくる。 それは、トイレ。