J2京都新監督のチョウ氏は”パワハラ事件”からの出直しをどう誓ったか?
新体制発表会に先駆けて、京都・城陽市内にあるサンガタウンと呼ばれる練習拠点で全体練習をスタートさせた。新加入した11人を含めたすべての選手たちに、初日に向けて用意してきた、直訳すれば「勝ち点3を狩りにいく」を意味する、今シーズンのテーマ『HUNT3』を伝えた。 「要は勝ち点3を待つのではなく、自分たちからすべてのものを奪いにいくようなチームにしていきたい。選手たちの成長を妨げず、成長を応援するというスタンスを忘れずに、綺麗ごとかもしれないけど全員をハッピーにできるように、勝負に、そしてサッカーに対して純粋に向き合っていきたい」 ただ単に「狩り」を強調するためだけに『HUNT』を使ったわけではない。実は『High-Intensity』『Ultimate』『Newborn』『Tough』の頭文字であり、それぞれに「強度の高いプレー」「勝利への究極のこだわり」「新たにチャレンジしていく」そして「タフに」と目指すイズムが投影されている。 特に『Newborn』は「生まれ変わった――」という意味ももっていて、再起へのチャンスを与えてくれた京都での戦いにかける、曹監督の覚悟と決意を表していると言っていい。 「過去にいろいろな経験をしてきたなかで、いま、未来の3つを、自分のなかでしっかりとブレンドして進んでいかなければいけない。過去に何かあったからと再びやったところで上手くいくとも思わないし、逆に何も検証せずに未来へ向かっても現実離れしたことしか起こらない。優秀なスタッフたちと相談しながら選手たちの意見も聞き入れて、現場のピッチで見せるものを磨いていきたい」 コーチングスタッフの筆頭格となる、新入閣の長澤徹ヘッドコーチ(前FC東京コーチ)は1968年度生まれの同学年となる。曹監督が早稲田大、長澤ヘッドコーチが筑波大と関東大学サッカーリーグでプレーしていた1980年代後半から気が合い、指揮官は親しみを込めて「テツ」と呼んでいる。 ヴィッセル神戸でプレーした1997シーズン限りで曹監督が現役を引退すれば、長澤ヘッドコーチも同年に本田技研で引退して先に指導者の道を歩み始めた。ともにJ2を戦った2017シーズンには、長澤氏が監督を務めていたファジアーノ岡山戦で、湘南がリーグ優勝とJ1昇格を決めている。