J湘南・曹監督の認定されたパワハラと謝罪会見の中身とは?
Jリーグは4日に東京・文京区のJFAハウス内で記者会見を開催し、湘南ベルマーレの曹貴裁(チョウ・キジェ)監督に対して、所属選手やスタッフへのパワーハラスメント行為があったと認定した。 日本サッカー協会が設置している暴力等根絶相談窓口に、2度にわたって匿名の通報があったのが7月上旬。連絡を受けたJリーグは、外部の弁護士4人からなる専門の調査チームを結成。曹監督を含めた関係者約60人に対して、8月中旬から面談や電話によるヒアリングを実施してきた。 Jリーグの村井満チェアマン、芝・田中経営法律事務所(東京都千代田区)の芝昭彦弁護士が出席した記者会見では、調査チームがまとめた調査報告書が発表・配布された。A4版用紙18枚からなる調査書には、パワハラ行為に認定される、あるいは該当する曹監督の言動が綴られていた。 一例を挙げれば、スタッフへの発言がパワハラ行為と認定された。直近では今年7月に福島・Jヴィレッジで行われたキャンプで、ボール拾いや水分補給などを担当していたスタッフに「本当に使えねえな」「お前らは遊んでいる。遊ぶんだったら外にいろ」などと怒鳴りつけた。 調査チームの面談や電話ヒアリングに対して、複数のスタッフが「朝、吐き気を感じる。行きたくないと感じる」「ベルマーレに来たことを心底後悔している」などと証言。精神的に追い込まれて一時的に出勤できなくなった、あるいはベルマーレを退職したスタッフがいたと記されている。 選手に対する言動のなかには、パワハラ行為に該当する不適切な、あるいは問題となりうるものが少なからずあったと認定された。昨年4月の公式戦のハーフタイムで、前半のプレーに精彩を欠いた選手に「チームの癌だ。他に移るから出て行け」と怒鳴り、ロッカールームからの退室を命じた。 同じく今年7月の福島キャンプでは、足に違和感を覚えた選手を確認しようとしたメディカルスタッフに対して、曹監督が「ほっとけ」「自分で考えさせろ」と一喝。そのままプレーを続けた選手が、違和感を覚えた箇所に全治約8ヶ月の大けがを負ったこともあった。 曹監督自身は面談で「一度挫折してどうはい上がってこられるかを、ベルマーレは大事にしてきた」と厳しい指導の一環だと答えている。指導方針の大前提として「怒る」と「叱る」の間に明確なラインを引いてきた曹監督だが、芝弁護士は司法の立場から「チーム、相手のためを思ってしたものでも、適正な範囲を超えている」と記者会見の席上で見解を示している。