成功するリーダーが楽観的な理由。「コーヒー焙煎」ビジネスでの成功から私が学んだこと
妻のクリスティンは、今でも覚えています。コーヒー焙煎ブランド「Green Mountain」を創業して間もないころの私は、夜にベッドで横になりながら、半年後、1年後、さらにはその先に達成したい具体的な売上額や利益額を、ひとりごとで繰り返していることがしばしばありました。 「3年間でこれだけの製品を発売する。そのためにかかるコストは…」。そんなふうに声に出して言うことで、その実現を強く心に誓っていたのです。
成功するためのマインドセット
ビジネスの成功を追い求めていくうえでは、前向きなマインドセットが不可欠です。 ポジティブ心理学の第一人者Shawn Achor氏は、心を奮起させる著書『成功が約束される「選択の法則」』(邦訳:徳間書店)のなかで、「人は世界を見るとき、世界に関する自らの基本的信念を確認するような方法で見がちである」と述べています。 「そうしたリアリティが、あらゆることを開く鍵なのです」とAchor氏は続けます。 それによって、障害物ではなくチャンスを、行き止まりではなく新たな道を、失敗ではなく成功への道を見出せるのです。 Achor氏は、マインドセットとスキルセットを身につける方法を紹介し、それを「ポジティブの特質」と名付けました。こうした「自分にはできる」という世界の観点を育めば、信じられないような新しいチャンスに出会い、力を得ることができるのです。
成功するリーダーは「楽観的な傾向」
研究で裏付けられているように、創業者や最高経営責任者(CEO)は、自信があって楽観的なタイプのほうが、より多くの価値を生み出せますし、より優れていて、より幸せな職場をつくり出すこともできます。 2007年にコーチング心理学の学術誌「International Coaching Psychology Review」で発表されたDana Arakawa氏とMargaret Greenberg氏の研究では、「ビジネスリーダーの楽観主義と、従業員の楽観主義、ならびにプロジェクト業績とのあいだには、有意な相関関係がある」ということが明らかになりました(楽観性については、「改訂版楽観性尺度(the revised Life Orientation Test)」という方法で測定)。 アメリカのデポール大学とスティーブンス工科大学の研究者らが2021年に行なった研究では、「CEOがオプションの権利(自社株を割引料金で購入できる権利)を行使したかどうか」を楽観主義の指標として、調査を行ないました。 その結果、CEOが楽観的である場合は、企業価値がおよそ17%から23%上昇したことが判明したのです。 研究チームが呼ぶところの、この「楽観主義プレミアム」は、業界の競争がより激しく、キャッシュフローのボラティリティ(変動率)が高く、研究開発費の支出額が大きい企業で、より大きいそうです。