成功するリーダーが楽観的な理由。「コーヒー焙煎」ビジネスでの成功から私が学んだこと
現代のリーダーたちに蔓延する悲観主義
一方、現在のCEOたちの間では、悲観主義が一般的です。 PwCが発表した2023年世界CEO意識調査では、自社の来年度の見通しについて、「非常に自信がある」「きわめて自信がある」と回答したCEOは42%だけでした。 そして、「現状のままでは、10年後には経済的に存続が不可能になると思う」という回答は40%だったのです。
重要なのは、楽観的なビジョンを伝えること
組織の創業者は、前向きで明確なビジョンを持ち、楽観的な見通しを持つだけでは不十分です。そうしたビジョンや見通しを、顧客や投資家、株主、とりわけ従業員と分かち合うことも必要になります。 私は、購入したばかりのコーヒー焙煎会社を、年間売上10万ドルから、数百万ドル規模のビジネスへと変貌させようとしていました。そして、志を同じくする人を見つけ、彼らとともに働き、未来に向けて共通のビジョンを描こうと思っていたのです。 しかし何はともあれ、まずは、そうした従業員を確保する必要がありました。 創業時に従業員を採用するべく面接を行なうなかで、私はやってきた人に対して「ここバーモント州で、コーヒー焙煎分野で、『フォーチュン500』にランクインするような会社をゼロから育てていきたい」と伝えました。 しかし、一方で頭の中ではこのようにも考えていました。ほとんどの人は、私の雑然としたオフィスから「この男は頭がおかしい」と思いながら出ていってしまうに違いない、と。 ところが、大半が一緒に働くことになったのです。 私は「小さく考える」ことはしていませんでした。そして、私が語ったことを実際に実行できるなら、そういう大きなビジネスに最初から関わってみたい、と誰もが思ってくれたわけです。ただし、そのビジョンをきちんと打ち出さなくてはなりません。 私は、自社のビジョンを自分だけのものにするつもりはさらさらありませんでした。むしろ、ビジョンは従業員と共につくり上げていくものだと信じていました。 自力で考え出した最高のアイデアであっても、ほかの人と共有し、意見を言ってもらってそれを取り入れれば、より優れたものになっていきます。 Green Mountainでは早い時期から、みんなで集まって、ともに未来を創造することに焦点を当てたグループ活動を行なっています。 活動のテーマは、たとえば「フォーチュン誌の表紙を飾ったところを想像してみよう。誌面の記事では、自分たちが大成功を収めたことについて、何が書かれていると思う?」といった感じです。 こうした活動や、似たようなテーマを話し合うことで、私たちが将来的に目指すべき高い目標を見きわめたり、共通のビジョンを形成したりできるようになりましたし、ビジョンの実現に向けて人を巻き込んでいきやすくなりました。 以下では、Green Mountainのビジョンを共につくり上げるために、従業員たちをどのようにして巻き込んでいったのか、自分たちが何を目指し、そこにたどり着くためにはどうすればいいのかをどうやって決めていったのか、さらに詳しく説明していきましょう。