鈴木彩艶も“伝説”となるのか。偉大なGKを生み出し続けてきたパルマの軌跡。破産宣告から、不死鳥の如く復活【コラム】
鈴木彩艶のライバルは?
23/24シーズンにパルマのゴールマウスを守ったのは、34歳のレアンドロ・チチソラだ。22/23シーズンは、ブッフォンと出場回数を17試合で分け合ったが、昨季は、ペッキア監督の信頼を勝ち取り、37試合に出場している。母国アルゼンチン、スペインでプレーした経験を持ち、17/18シーズンにはラス・パルマスで、ラ・リーガの27試合に出場しているが、セリエAでの出場はない。鈴木の当面のライバルは、このチチソラとなるだろう。 第2GKには、8月21日に21歳になるマルティン・トゥルクが控える。U21スロベニア代表では19試合に出場し、22/23シーズンにはサンプドリアで4試合に出場し、セリエAでプレーした経験を持つ現在のパルマでの唯一のGKだ。さらに、U19イタリア代表に招集された実績を持つ、23歳のエドアルド・コルビがいるがトップチームでの出場記録はない。 これらのGKを束ねるのが、サレルノ生まれのバレリオ・ビスコンティGKコーチだ。ベローナ時代からペッキア体制の下でGKコーチを務め、アビスパ福岡とユベントスU23では、助監督を担ったほど信頼は絶大だ。21/22シーズンには、セリエBにおける最優秀GKコーチ賞をAPPORT(イタリアGKコーチ協会)から受賞している。 日本人GKとして、初めてGK大国イタリアの門をくぐる鈴木は、ティフォージ(イタリア語でサポーターの意味)の信頼も勝ち取らなければならない。彼らは、ブッフォンをはじめとした数多くの一流GKのプレーを目の当たりにし、そして、カップウィナーズカップ、スーパーカップ、UEFAカップを勝ち取った90年代には栄光を享受してきた。当然、鈴木には厳しい目が向けられることとなるだろう。鈴木は、ライバルとの争いに打ち勝つだけではなく、そういったプレッシャーにも耐えて、欧州のトップレベルのGKへと成長しなければならない。 (文:佐藤徳和)
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