鈴木彩艶も“伝説”となるのか。偉大なGKを生み出し続けてきたパルマの軌跡。破産宣告から、不死鳥の如く復活【コラム】
2024/25シーズンからイタリア・セリエAに所属するパルマが今夏、サッカー日本代表GK鈴木彩艶を獲得したことを発表した。同選手がセリエAでプレーする初めての日本人GKとなるが、果たしてパルマとはどんなクラブなのだろうか。かつてジャンルイジ・ブッフォンらを輩出したその歴史を振り返る。(文:佐藤徳和)
パルマが鈴木彩艶を獲得「喜びは2倍」
セリエAに、歴代14人目の日本人プレーヤーが誕生した。パルマは現地時間15日、クラブの公式サイトで日本代表の鈴木彩艶をシント=トロイデンから完全移籍で獲得したことを正式発表した。パルマでは、中田英寿以来の日本人選手で、日本人GKとして初めてセリエAでプレーする選手に。契約期間は2029年6月30日までの5年に及ぶことから、その期待の高さが伺える。 パルマのマウロ・ペデルツォーリ・スポーツディレクターは、「鈴木の獲得を強く望んだが、長く複雑な交渉だった」と打ち明けると「鈴木への関心はとても多く、我々と鈴木の意欲が、他のクラブからの関心に勝った。それは、長く、実りある関係となる礎を築きたいという双方の気持ちだった。日本とベルギーですでに素晴らしい経験を積み、GKのポジションにおいて、最も若いタレントの一人ということを考えれば、喜びは2倍だ」と鈴木の獲得に喜びを露わにしている。 現地メディアの『Parma Today』によると、移籍金は総額で推定1000万ユーロ(約16億円)がシント=トロイデンに支払われることとなった模様。パルマへの移籍が決定した鈴木は、同メディアのインタビューに対し「このクラブの一員になれて嬉しく思います。このクラブは素晴らしい歴史を持ち、世界中にとても多くのサポーターがいるということを知っています。私は、常にベストを尽くし、チームに勝利をもたらすために、自分の仕事で貢献できるように努めます」と意気込みを語っている。 21歳の鈴木には昨夏、マンチェスター・ユナイテッドからのオファーが届いたことが明るみに出たが、最終的に浦和レッズからベルギーのシント=トロイデンに期限付き移籍した。そして、今年2月には、7月1日から完全移籍となることが発表されていた。 その鈴木に6月、イタリアへの移籍の噂が浮上する。当初はパルマではなくジェノアだった。スペイン人のジョゼップ・マルティネスがインテルに移籍(7月10日に正式決定)し、その後釜となるのでないかと報じられていた。しかし、7月1日、イタリア・メディアの『Sky Sport』が、パルマが、鈴木の獲得を画策していると報道。それから話は進展し、さらに11日には、鈴木の後を継ぐと予想される、U-23日本代表の小久保玲央ブライアンがベンフィカからシント=トロイデンに加入し、鈴木のパルマへの移籍は時間の問題と見られた。一時は、チェルシーからの関心も報じられたが、15日にパルマへの移籍が長い交渉の末に決着した。