なぜ出雲駅伝で創部11年目の東京国際大が初出場初優勝の快挙を成し遂げたのか…校内放送で部員募集の過去も
前回と前々回の箱根駅伝ではヴィンセントの区間でトップに立つも、次の区間で早々と首位から陥落した。しかし、今回は日本人選手だけでトップを奪い、首位を一度も明け渡さなかった。 「先頭には立つけれど、その後に崩れてしまうというのがこれまでのチームでした。出雲では先頭グループで行くことを課題にしていたんです。全日本は距離が長くなりますが、今回のように序盤から先頭グループで走るようなレースを展開して、箱根につなげたいと思っています。過去2回の全日本は最終8区に留学生を起用しましたが、違うパターンも考えています。とにかく全日本はどこかの区間でトップに立ちたいですね」(大志田監督) 3区で快走した丹所は、「今回は区間3位以内が目標で区間2位でした。全日本と箱根では区間賞を狙いたい。夏の日本人エースは僕だと思いますけど、山谷も調子を上げてきているので、まだエースとはいえません。チームの目標は三大駅伝での過去最高順位(全日本4位、箱根5位)の更新です」と次なるターゲットを見つめていた。 3年生以下のオーダーで出雲Vを勝ち取った東京国際大。その躍進は全日本、箱根と続きそうな予感が漂っている。 その一方で、今回は有力チームの陣容がそろわなかった。3位の東洋大は宮下隼人(4年)と松山和希(2年)が外れ、6位の早大は千明龍之佑(4年)を欠いた。特に痛かったのが、昨季の全日本と箱根を制した駒大だろう。 レース当日の朝、ホテルのロビーで出くわした大八木監督は、「芽吹がいれば完勝だったのにな」とぼやくと、「せめて(田澤に)先に渡したいね」と話していた。 日本選手権10000m3位の鈴木芽吹(2年)が9月に右大腿部を疲労骨折。関東インカレ(2部)の5000m・10000mで青学大勢らを抑えて日本人トップを奪った唐澤拓海(2年)も調子が上がらず、4区にまわった。順当なら1区唐澤、3区鈴木というオーダーを組んだはずだが、予定が大きく狂った。アンカー田澤が3人抜きで意地を見せるも、駒大は5位でレースを終えた。 今年正月の箱根駅伝は4回目の出場となった創価大が往路で初優勝を飾り、復路も終盤まで独走した。10月の出雲駅伝は初出場の東京国際大が初栄冠。大学駅伝は新たな時代への過渡期にあるのか。それとも名門校が底力を発揮するのか。11月7日の全日本大学駅伝もエキサイティングな戦いになりそうだ。 (文責・酒井政人/スポーツライター)