どうなる波乱の箱根駅伝?!往路サプライズVの創価大が逃げ切れるのか…大逆転の可能性があるのはどこか?
箱根駅伝2021の往路を制したのは創価大だった。2019年2月に中大、旭化成で活躍した榎木和貴監督が就任。前回は3年ぶりの参戦で9位に入り、初めてシード権を獲得した。今季は10月の出雲駅伝が中止となり、全日本大学駅伝は「書類選考」で落選。箱根駅伝はエントリー上位10人の10000m平均タイムが13位(29分05秒37)だった。それがわずか4回目の出場で19校目の往路優勝を達成。これは“サプライズV”と言っていいだろう。 今大会は連覇を目指す青学大、前回と全日本2位の東海大、全日本を6年ぶりに制した駒大の“3強対決“が予想されていた。しかし、有力校は思わぬ苦戦を強いられる。 駒大は1区白鳥哲汰(1年)が区間15位と出遅れ、2区のエース田澤廉(2年)も区間7位。序盤で流れをつかむことができなかった。青学大は主将・神林勇太(4年)を3区に起用予定だったが、12月28日に右臀部仙骨の疲労骨折が判明。急遽3区に入った湯原慶吾(3年)が区間14位と踏ん張ることができず、5区竹石尚人(4年)も区間17位に沈んだ。東海大は4区佐伯陽生(1年)が区間19位のブレーキになってしまった。 3強がミスをしたことで“優勝ライン”が必然的に下がった。そのチャンスをものにしたのが創価大だった。1~5区までにミスがなかったどころか、前走者の活躍が次なる選手の快走を生んでいく。 1区福田悠一(4年)がトップと15秒差の3位で好発進して、2区フィリップ・ムルワ(2年)で2位に浮上。3区葛西潤(2年)が区間3位と好走すると、4区嶋津雄大(3年)が東海大をかわしてトップに立った。 「目標の総合3位を達成するには往路を3位以内で折り返さないといけないと思っていました。そのためには山で勝負することを考えていたんです。3区、4区はしのぐ区間だと思っていたんですけど、この2区間で順位を押し上げてくれたのは予想外でした」(榎木監督) 5区三上雄太(3年)は「激坂最速王決定戦2020@ターンパイク箱根」(11月21日)の登りの部(13.5km)で各校の5区候補を抑えて優勝しているが、10000mは30分台の選手。学生駅伝には一度も出場していない。“無名の山男”がひたひたと天下の険を駆け上がっていく。追いかけてきた前回5区区間賞の東洋大・宮下隼人(3年)を終盤突き離して、往路優勝のゴールに飛び込んだ。 「早い段階から往路5人の区間イメージを作り、調整段階からハマったかなと思います。走った選手が自分たちの力を100%出し切ってくれました。でも往路優勝は予想外です」と榎木監督。往路Vに驚いていたが、後続にも大差をつけた。果たして、このまま逃げ切ることができるのか。 「復路は先頭を走る喜びを楽しみながら、自分たちの走りをしてくれればなと思っています。他大学のことは考えず、自分たちがどう100%の力を出し切るかに集中させたいです」(榎木監督) 創価大は前回、往路で7位に食い込むと、復路も9位でまとめている。前回9区区間6位の石津佳晃(4年)を9区に登録しており、前回3区区間11位の原富慶季(4年)を補欠に残している。復路メンバーもまずまず走ると考えていいだろう。