衝撃の103秒TKO勝利デビュー!元K-1王者の武居由樹はボクシング界でどこまでやれるのか?
ムエタイ王国のタイでは、強すぎて対戦相手がいなくなり賭けが成立しなくなったキックボクサーがボクシングに転向して世界王者となった例は枚挙をいとわない。しかし国内では過去にキックからボクシングに転向して世界王者まで上り詰めたファイターはいない。元大橋ジムの土屋ジョー、武居がK-1で激闘を演じた久保賢司らは日本タイトルさえ手にできなかった。元K-1のヘビー級王者だった藤本京太郎がボクシングに転向して日本、OPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックの“3冠”を獲得しているが、世界との距離を縮めることはできなかった。 では、武居はどこまでやれるのか。 キックとボクシングでは類似点は多いが異なる技術も少なくない。ひとつは重心の問題。キックはアップライトでパンチに体重が乗りにくい。そしてディフェンス技術もボクシングはより繊細だ。だが、武居に戸惑いはない。 「違いはそんなに感じない。ラウンドが長いのでそのペース配分と距離感くらい。キックは遠いですからね。(キック時代も)ボクシングジムに行ってスパーをしていたし、そこまで何かを変えようともしていない」 足立東高校時代はボクシング部に所属していた。元々、アマチュアボクシングがベースとしてある。そして、ボクサーへの転身を手ほどきしているのが、元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナー(38)だから万全である。 「まだまだです。ただ段階を踏んでキックボクサーからボクサーへの形を作っていった。どんな反応をするのかを見たかったが、素晴らしい出来。ボクサーらしい動きをするようになったし距離感も上手。キック特有の変則的な動きもあって、それがまた面白い」 この日の試合では出せなかったが、2月11日に行われたチャリティイベント「LEGEND」での元WBO世界フライ級王者、木村翔とのエキシビションマッチでは、変則的な左のパンチを繰り出して、元世界王者を戸惑わせてもいた。 キックボクサーの特長をボクシングに生かしているのだ。 武居も言う。 「他のボクサーよりキックボクサーにはパワーがある。パワーでは負けないし近い距離は得意だと思う」 これが2017年の中日本新人王を相手にインファイトを仕掛けた根拠だ。大橋会長は、「(試合が終わるのが)早すぎてよくわからなかった。ディフェンス面なんか見たかったが」と、103秒決着に苦笑いを受かべながらも武居の可能性を高く評価した。