衝撃の103秒TKO勝利デビュー!元K-1王者の武居由樹はボクシング界でどこまでやれるのか?
「(パンチ力があるので)当たればああなるのはわかっていた。2年以内で(世界王者)いけると思う」 “モンスター”井上尚弥を誕生させた元世界王者のチャンピオンメーカーは、武居の2年以内の世界奪取を予告した。 エキシビションで手をあわせた木村翔もこう証言していた。 「思った以上に強かったです。距離の取り方がうまかった。採点をつけたなら僕の負けでしょう。日本、東洋タイトルは普通に取る選手。若いし今後の成長で世界もある」 ムエタイから世界王者の成功例に武居が重なる。 「まだまだです。やりたいことがもっとたくさんあった」 謙虚な武居が目標としているのもそこだ。 「僕はボクシングにチャレンジしにきた挑戦者。ボクシングでもベルトを巻きたい。K-1チャンピオンがボクシングのチャンピオンになれば歴史に残る選手になると思う」 理想像は「打たせずに倒すボクサー」。まさにプロボクサーとしての第一歩は、その理想通りのボクシングをした。 「3.11」。記念すべきデビューは、東日本大震災から10年目となる区切りの日に重なった。“師匠”の八重樫トレーナーは、こんなメッセージを伝えていた。 「僕は震災のあった2011年に世界チャンピオンになった。これには きっと意味がある。僕も岩手出身。被災した方々に勇気や元気を届けるべきチャンピオンになったと思った。武居が10年後の3.11にデビューするのも不思議な縁。彼が世界チャンピオンになった時にどういう意味かがわかると思う。見る人に勇気と元気を与えられる選手になって欲しい」 震災当時、八重樫は横浜にいたが、交通機関はストップ。タクシーを3時間待って息子を迎えにいった。岩手の実家は山の手にあったため津波の被害はなかったが、電話を何度かけても丸一日つながらず、その安否に心を痛めた。仙台にいる兄弟とも連絡がつかなかった。翌日に無事が確認されたが、八重樫は、故郷に勇気を与えるために2011年10月にポンサワン・ポープラムック(タイ)との激闘を制してWBA世界ミニマム級王者となっている。 武居も「3.11」を自らの宿命と結びつけた。 「3.11にデビューできたことには何かある。これから日本を背負えるような選手になっていきたい」 次戦は7月に予定されている。