衝撃の103秒TKO勝利デビュー!元K-1王者の武居由樹はボクシング界でどこまでやれるのか?
元K-1王者の武居由樹(24、大橋)が11日、後楽園ホールで衝撃のボクシングデビューを飾った。54.5キロ契約の6回戦で6勝7敗3分けの高井一憲(34、中日)と対戦した武居は1回に2度のダウンを奪い1分43秒にTKO勝利。大橋秀行会長は「2年以内に世界王者に」と太鼓判を押した。過去に国内ではキックボクシングからボクシングに転向し成功した例は少ないが、「ボクシングでも世界ベルトを巻き歴史に名を残す」との目標を掲げた。“モンスター”井上尚弥の所属する大橋ジムにまた一人“怪物候補”が誕生した。
至近距離からのフィニッシュ
“格闘の神”の声でも聞こえたのか。 1ラウンド開始、1分過ぎ。k-1時代と同様に、ここまで静かに様子を見ていたサウスポースタイルの武居が、突然、体勢を沈め、右のリードからロープを背負わせるように距離を詰めた。 「感覚。当たる距離だなと思った」 至近距離からの左アッパーが炸裂。そこに右フックを続けて打った。6勝(3KO)7敗3分けという戦績の34歳のベテランがロープによろけると一気にラッシュをかける。 「効いたのがわかったのですぐ攻めた」 そのまま勢いで押した。右が当たって一度目のダウン。高井はカウント9まで待って立ち上がったが、武居はもうフィニッシュモードに入っていた。 これが元K-1で頂点を極めた王者の持つ嗅覚なのだろう。 再び怒涛のラッシュ。狙いすましたような左フックが高井の顎を直撃すると、青コーナーからタオルが投げ込まれ、ほぼ同時にレフェリーもカウントせずに試合をストップ。衝撃の103秒TKO劇である。 「緊張はなかった」というが、フィニッシュブローは覚えていなかった。 「最後は何があたったのですかね?アッパーかな?左ですかね? 何が効いたかもあまり覚えていない」 プレッシャーはあった。 「K―1チャンピオンのデビューに注目が集まっていたので勝たなければならないとのプレッシャーはあった。K-1の名前を汚すわけにはいかなかった。とりあえず勝てて良かった」との心情を吐露した。 武居はK-1で頂点を極めた。アマチュア時代には“神童”那須川天心とドロー。プロに転向して2016年にKrush -53kg王座を獲得し2017年にK-1 WORLD GPスーパーバンタム級王座を手にした。2017年にはK-1で年間MVPも受賞している。デビューしたての頃に連敗しているが、2015年8月以降無傷の22連勝(15KO)のまま「次の夢を求めて」ボクシング転向を決意した。 無様な姿でも見せようものなら自らの格闘技人生や支えてきたファンを裏切ることになる。デビュー戦がセミファイナルに置かれたことで、さらにプレッシャーは増したそうだが、「僕は期待された方が強くなれる。プレッシャーを力に変えることができた」という。「楽しめた」ともいうのだから大物だ。