サッカー大国・ドイツを覆う危機感…子どもたちに「とにかく、いっぱいボールに触れさせる」ことで判明した「衝撃の効果」
競争は必要だが……?
「大切なのは成長に応じた適切な試合環境だ。そして、厳しいレギュラー争いという言葉でカバーできるのは、本人の努力や取り組みの工夫で出場機会をある程度は手にすることができる可能性がある、という範疇でなければならない」 ドイツサッカー協会の公認A級ライセンス講習会で、ドイツにおける指導者育成の第一人者であるベルント・シュトゥーバーが、僕たち受講生に力強く語りかけてくれた言葉だ。 競争は必要だが、それは健全なものでなければならない。 ドイツでも、他のどんな国でも、すべてがうまくいっているなんてことはありえない。困難や障害と向き合い続けるなかで、どのように解決策を見出そうと取り組むのかが重要なのだ。 時代や環境など、思うにまかせないもののせいにすることなく、子どもたちの安心や安全、基本的人権を遵守しながら、それぞれの地域に適したやり方を、日本の各地でも見つけ出してほしいと願っている。 3年間ホケツだった僕がドイツでサッカー指導者になった話 * * * * * ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする 自主性・向上心・思いやりを育み、子どもが伸びるメソッド ドイツの大人は子どもの成長をどのように考え、どのようにサポートしているのか。現地在住のサッカー指導者であり、子育てにも奮闘する著者が、現地でしか知りえないジュニア指導の新常識を紹介。
中野 吉之伴