なぜ森保Jは豹変したのか…サウジに2-0快勝でW杯出場王手…長友佑都「僕の魂の叫び。聞こえましたか?」
センターバックの板倉滉(25・シャルケ)は重圧を感じていた。 森保ジャパンの最終ラインを支えてきた二枚看板、キャプテンの吉田麻也(33・サンプドリア)と冨安健洋(23・アーセナル)を負傷で欠いた今シリーズ。中国戦に続いて、谷口彰悟(30・川崎フロンターレ)とのコンビで先発に名を連ねた。 シュートを2本しか放てなかった中国は完封できた。しかし、真価が問われるサウジアラビア戦で失点すれば、間違いなく「吉田と冨安だったら――」と声が上がる。もちろん試合中はプレー以外の余計な思いをすべて封印していたと明かす。 「とにかく集中して、当たり前のことをしっかりやろう、と。例えば攻めているときのリスク管理や右、左といった確認などもこまめに、丁寧に声をかけ合いました」 終わってみればサウジアラビアが放ったシュートはわずか2本。司令塔アルファラジと点取り屋アルシェフリを負傷で欠き、さらに前半途中でMFアルマルキまでもが負傷でピッチを去ったサウジアラビアに、決定的なチャンスを作らせなかった。 吉田と冨安の不在を感じさせないまま手にした2試合連続の完封勝利は、来月に待つ最終シリーズの2試合へ確実につながる。90分間を通してコミュニケーションを取り合った谷口の思いも代弁するように、板倉は手応えを口にした。 「今回の2試合はチャンスだったし、だからこそ何としても2勝を、と思っていた。ポジションを奪いにいくつもりで普段からやってきたので」 守田英正(26・サンタ・クララ)は反省を重ねていた。 主戦システムが4-2-3-1から、トップ下を置かない4-3-3へ変わって5試合目。すべてで白星を手にしてきたなかで、出場停止だった1試合を除いて、田中碧(23・フォルトゥナ・デュッセルドルフ)とともにインサイドハーフを任された。 「自分は守備の特徴の方が強いので、そこを求められていることを前提で考えていたなかで、攻撃面でアクセントが足りないことはずっと反省していた」 アンカーの遠藤航(28・シュツットガルト)を含めて、実際には最終ラインの前に3人のボランチが配置されるのが森保ジャパンの4-3-3となる。必然的に前線との距離が空き、攻撃に厚みを加えられない展開を前にして試行錯誤が続いた。 迎えたサウジアラビア戦。守田は特に声をかけ合うわけでもなく、試合の流れに応じながら、まさにあうんの呼吸で田中と左右を入れ替え続けた。 「僕が左にいるときは佑都さん(長友)を前に上げて、拓実くん(南野)を中に入らせたかった。タイミングを見計らって下がろうと思っていたけど、タイミングをうまくつかめなかったので碧(田中)と替わってもらった。そこは碧の方が上手いので」 川崎で中盤を組んでいたからこそ通じ合う思いが、応用を即興できかせる。左右だけでなく上下にも自在にポジションを変え続けたなかで、伊東や南野、大迫勇也(31・ヴィッセル神戸)との連携・連動にも手応えをつかみつつある。守田が続ける。 「僕と碧のどちらが前に行くのかは、流れのなかで変わっていく方が相手もつかみにくくなる。必要以上にしゃべらなくてもわかり合える信頼関係もある。真ん中でどっしりと構えていてくれる航くん(遠藤)を含めて、前に絡み、厚みを加える上での3人の関係性は試合を重ねるごとによくなっていると思う」