「能登地震の復興は東日本に学べ」元復興庁・岡本全勝さんの提言 町を元に戻しても人は戻らず #知り続ける
1月1日夕方、年明け早々に最大震度7という激しい揺れが襲った「能登半島地震」。2月7日現在、石川県内で死者は241人を数え、4万棟以上の住宅が損壊するなど甚大な被害が出ている。道路などのインフラも破損し、孤立集落も発生した。目下、応急的な復旧作業のさなかだが、その後はどう町を再建していくのかという復興の議論が始まる。そこで教訓となるのが、13年前の東日本大震災での経験だ。当時、復興庁で事務次官を務めた岡本全勝さんに話を聞いた。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
次第に明らかになった「孤立集落」の存在
「今回の能登半島地震でもっとも特徴的なのは、孤立集落です。小さな集落が能登半島の沿岸や山間部にいくつもあり、崖が崩落して道が寸断され、孤立した。港湾からの接近もできなかった。それこそが発災当初から救助や支援が困難だった要因です」 復興庁で事務次官を務めた岡本全勝さんは今回の地震をまずこう分析する。
1月1日午後4時10分ごろ、能登半島で最大震度7の大地震が発生した。間もなく津波も到達。激しい揺れにより、木造家屋を中心に4万棟を超す住宅が被害を受けた。「輪島朝市」では大規模な火災が発生し、約300棟が焼失したとの報道もある。2月7日時点で、死者は241人にも上る。 能登半島地震は従来の震災と比べて、被害の全容がつかめないという問題がクローズアップされている。道路の寸断、通信や電気の途絶で、地震発生後の現地の状況がすぐに把握できなかったためだ。そんな中、次第に明らかになったのが点在する「孤立集落」の存在だ。 石川県は、土砂崩れなどで車が行き来できない地区を「孤立集落」と定義。1月7日には、4市町で24の孤立集落が発生し、少なくとも2318人が孤立状態であると発表した。
岡本さんは、能登の現場を見ていないため、あくまで報道で知り得た範囲での見解としたうえで、今回の能登半島地震の初動は決して悪くなかったとし、この孤立集落の点在こそが能登半島地震の難しさだと指摘する。 「発災後直ちに、自衛隊、消防、警察、それからDMAT(災害派遣医療チーム)などを投入・派遣要請したのはよかった。ただ現実には、能登地方は高速道路まで被害を受けていて、なかなか大所帯で向かえる状態ではなかった。一般道では土砂崩れや崩落がさらに甚だしかった。そのせいで孤立集落ができてしまったのは、被災者支援にとっても非常に痛いところでした」 1月末の時点で、まだ能登地方の道路、水道、電気、通信などインフラの復旧は道半ばの状態だ。