「墓じまい」「仏壇じまい」変化するお墓事情 多様化する「弔いのカタチ」#令和の親 #令和の子
女性に顕著な「何も残さずきれいに去りたい」という傾向
シニア層の心理について、梅津さんは「先のことはわからないから、というのに尽きると思います。また、墓じまいした人のほとんどが『スッキリした』とおっしゃいます。断捨離の感覚で、いろいろ考えなくてよくなったら楽になったと。もちろん子供や残された家族に迷惑をかけたくないという気持ちもあるのですが、それはデフォルトというか当たり前。その上で、時代の流れに沿って、形があったものを形のないものに寄せていこうとしているのは面白いなと思っています。特に女性に『何も残さずきれいに去りたい』という傾向が強い」と指摘します。 インタビューに応じた藤原さんも「お墓を買おうと思えば買えたけれど母の場合はお墓にお金をかけるくらいだったら現金を遺してあげたいと思うタイプ。信仰している特定の宗派もないですし、樹木葬の管理費用も1年で1万円くらい。生前の母は我が強くて私とぶつかることもしょっちゅうでしたが、最期は自分の計画通りに事が進んで結果、私や兄にほとんど金銭的な負担もかかっていません」と明かしました。
時代や弔いの形は変わっても「故人を思う気持ち」は変わらない
多様化するお墓事情、弔い方事情ですが、日本人は先祖代々や縁のある故人への思いも変化したのでしょうか? 「よく勘違いされがちなのですが……」と前置きした上で、太島さんは続けます。「皆さん供養をしたくないわけではないんです。墓じまいや仏壇じまいなど弔い方の変化・多様化で『ご先祖さまに失礼なのでは?』と思われる方もいらっしゃると思いますが、お客様に聞くと本当に弔いの仕方が変わっただけで、故人に手を合わせたいという気持ちは変わりません」 また、梅津さんも「形には残さないけれど、心や気持ちは変わらなくてむしろ宗教戻りをしている気がします」と指摘。「仏壇や位牌(いはい)を置いたりはしなくても故人を思う気持ちは変わらず、皆さん心と心のつながりは信じています。ある読者の方は『うちは浄土真宗なのだけれど、勉強をして旅行も兼ねて日本中のお寺巡りをしているんです』とうれしそうに話してくれました。また『自分のルーツをたどるような旅をしています』という方もいらっしゃって、そういう方が一人や二人ではありません」