「墓じまい」「仏壇じまい」変化するお墓事情 多様化する「弔いのカタチ」#令和の親 #令和の子
4人に1人が「葬式をしない」、3人に1人がお墓の形式を「決めていない」
変化するお墓や弔いの形ですが、親世代や自身の最期について考える機会が多いであろう中高年やシニア世代はどんな心理なのでしょうか? 「ハルメク 生きかた上手研究所」が2023年に50~79歳の男女2,000人を対象に実施した「終活に関する意識調査」によると、自身の葬式の形式として「家族葬」と答えた割合は男性50.3%、女性が50.1%でほぼ同率で、「一般葬」は女性(3.5%)より、男性(7.6%)が倍以上の割合。一方で「一日葬」「直葬」は男性より女性の割合のほうが高いという結果になりました。また、「お葬式はしない」と回答した人は全体で24.9%、お墓の形式として34.9%が「まだ形式を決めていない」と回答しています。 同調査の結果について、「生きかた上手研究所」所長の梅津順江(うめづ・ゆきえ)さんは「特に私が注目しているのが、『お葬式はしない』と答えている人の割合です。全体で24.9%、つまり4人に1人が葬式はしないと考えているんです。詳しく見ると『まだ決めていない』という人も含まれているようなのですが、お墓の形式も3人に1人が『決めていない』という結果が出ました。 この調査を受けて読者のインサイトを探ってみたところ、『今は何が起こるかわからないし、自分もどうなるかわからない。自分たちが小さいときは永代供養なんて言葉もあまり聞かなかったし、お墓と言ったらいわゆる和型と言われるお墓。海に骨を撒(ま)くなんてドラマの世界の話で現実感がなかったけれど、今はそれが珍しくなくなった。デジタル社会でもあるので、自分が死ぬときには今のお墓のあり方とは違うものが出てくるのではと思っている。だから今は下手にいろいろ決めないほうがいい』という声が多いです」と明かします。 また、猛暑や気候変動による災害などが頻繁に発生していることを受けて、「お墓が流されてなくなる可能性もある。形がないものがいい」と答える読者も少なくないといいます。さらに一押しとなったのが、コロナ禍でした。 「都会に比べて地方では地元のしがらみや地域のつながりなどがまだまだ根強かったですが、コロナ禍で物理的に葬式や人を集めることができなくなった。それをきっかけに多くの方が死生観を考え直すきっかけになったとは思います」(梅津さん)