NYタイムズ「2025年に行くべき52の旅行先」に富山が選出された理由は?
2024年の山口に続き、2025年は富山。偶然にも筆者が前年に取材した都市が、2年連続でニューヨーク・タイムズ紙の「世界の行くべき旅行先」に選ばれた。富山市とはどのような街なのか、その魅力を紹介したい。 【画像】富山港線の終点「岩瀬浜」駅付近を走行するLRT車両
◆富山が選ばれた理由
2025年1月7日、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは「52 Places to Go in 2025(2025年に行くべき52の旅行先)」を発表。トップにリストされたのは、今年生誕250周年を迎える小説家ジェーン・オースティンの故郷であるイングランド南部だった。 日本から選出されたのは30番目の富山と、38番目の大阪の2カ所。大阪は、今年万博が開催されるのが、選出の決め手になったのであろう。 では、富山はなぜ選ばれたのか。ニューヨーク・タイムズのサイトを見ると、「Enjoy cultural wonders and culinary delights while skipping the crowds(人混みを避けながら、文化的な驚きとおいしい料理が楽しめる)」と評価されている。 世界中でオーバーツーリズムが問題となる中、あまり知られていない場所を紹介しようという意図は読み取れるものの、あいかわらず選考基準があいまいな気がする。混雑しておらず、文化と料理が楽しめる都市など、探せばほかにもいくらでもあるだろう。 筆者が思うに、富山市の魅力の本質は、歴史・文化に裏打ちされた品のある街並みを大切にしながら、これと両立した先進的なまちづくりの取り組みが進められている点にある。観光地としてのみならず、都市設計の観点でも高く評価されるべき街なのだ。 また、富山が能登半島への玄関口でもあることも、今回の選出の一因になったのではないか。富山の知名度が上がることによる誘客効果で、能登の震災復興が加速することへの期待も考慮されたものと思われる。 本記事では以下、富山の歴史・文化とまちづくりについて見ていくことにする。