「今どこ?」に「もうすぐ着くよ」と返事をする夫にイライラ…35歳女性が悩む、質問に答えない人との関係をどう解消すればいいのか
6秒、待つ
イラッときたら、6秒待つ。こんな方法もあります。 怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」によれば、「怒りのピークは6秒」といわれています。「もう、許せない!」と思ったら、「1、2、3、4、5、6」とゆっくり数を数える。すると怒りが少し収まります。 怒りに油を注いで、さらに怒りだすと止めどなくなる。怒りの炎で自分を焼いてしまうことになりかねません。 より効果的なのは、「グッパー、グッパー、グッパー」と手を6回開いたり閉じたりする方法です。体を動かすことに集中することで、確実に怒りのピークを下げられます。 これを教えてくれたのは、とある政治家でした。罵詈雑言を浴びせられても、どうして平然としていられるのかと尋ねたところ、「気づかれないように、拳を握ったり、緩めたりしているんだ」と教えてくれました。 これを真似するようになってから、私も少しだけ感情のコントロールができるようになった気がしています。
3フレーズ話法で明確な答えを受け取る
最後に、質問に対してズレた回答をもらわないためのコツをお教えしますね。 世の中は、「タイパ(タイム・パフォーマンス)」ばかりが大事にされて、文章も動画も短いものばかりが好まれます。「わかった」と答えるところを、「了解」を短くして「り」と答える。スタンプだけを押す。 仲間うちでは通じるものもあるでしょう。しかし、相手の気持ちを思いやる「相手思考」のない人に向けては危険です。文脈を読みとる力がないからです。 そんな相手に、どうすれば正確に自分の意思を伝えられるか? その方法として「3フレーズ話法」があります。 あなたの例で言うならば、「今どこ?」と1フレーズで質問するだけでなく、「今どこ? 何時に来られる? 待ってる」「今どこ? 私が移動した方が早い? 教えて」「今どこ? 6時から待ってる。何時に着くの?」と「3フレーズ」で質問してみましょう。 「3フレーズ」で質問しても回答が1つしか返ってこないこともあるでしょう。でも1つでも戻ってくれば、おおむね、次に自分が取るべき行動の判断材料にはなるでしょう。これでイライラが軽減されます。言葉の打席を増やして、打率を上げていく。そんな気持ちで、少し丁寧に質問することを心がけてみてください。 「そこまで、私がしなくちゃいけないの?」と思うかもしれません。 面倒くさいようですが、相手にしっかり伝われば、無駄にイライラすることはなくなります。「相手思考」のできない人が増えている今、自分の精神衛生のためにも、自分の思いをしっかり相手に伝える工夫をした方が、自分のメンタルが守られると考えてみてください。 「不寛容」というレッテルを剥がそう 繰り返しますが、あなたは決して不寛容なわけではありません。 でも、イライラするのはつらい。 それなら、感情のコントロールの仕方を覚えて、質問の仕方をちょっと工夫すれば、イライラもきっと少なくなるはずです。 息でイライラを吐き出す。イラッときたら6秒。グッパー、グッパーと手を動かす。3フレーズ話法で質問する。 こんなコツを生活に取り入れてみてください。 ひきたよしあき スピーチライター、コミュニケーションコンサルタント。(株)SmileWords代表。大阪芸術大学放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。元(株)博報堂クリエイティブ・ディレクター。政治家、行政、大手企業のスピーチライターとして活躍し、現在は企業や各種学校をはじめ、JFA(日本サッカー協会)、浄土真宗本願寺派などでも講義。世代間のコミュニケーションギャップ、価値観や言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力を高める方法を伝授している。教育WEB「Schoo」、朝日小学生新聞WEB「みんなをつなぐ新聞」などでも人気を博している。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)他著書多数。 ひきたよしあき著/江夏潤一イラスト 協力:辰巳出版 辰巳出版 Book Bang編集部 新潮社
新潮社