大リーグでホームランが激減した理由とは…大谷翔平が2本塁打の後に語った「去年よりボールが飛ばない」は本当なのか
エンゼルスの大谷翔平(27)が9日(日本時間10日)、本拠地で行われたレイズ戦で5号ソロ&6号満塁弾を放ち、ようやく、もやもやを振り払ったが、試合後に注目発言を行った。今年は同点二塁打となった8日のナショナルズ戦や、5日のレッドソックス戦など、大飛球がフェンス直撃止まりという打球も少なくない。 大谷自身、「打撃であんまり結果が出てない」と認め、ボールの軌道に対し、バットを通す軌道のブレなどを否定しないが、きっちり捉えた打球がフェンスを超えないーー。そこに飛ばないボールの影響があることを「個人的に感じる」と話したのだ。 「見ている感じも。データで、どのくらいのスピードで飛んでいるというのは出るので、去年よりは飛ばないかなという印象はある」 事実として、今季の大リーグでは本塁打数が激減している。 1チームの平均本塁打数は0.92本(1試合あたり=5月9日現在)。過去最多は2019年の1.39本で、あの年はリーグ全体で6776本のホームランが生まれたが、今年は4471本ペース。2300本以上も減る計算だ。1試合平均は2016年から1.15本を超えるようになり、上位10シーズンを調べると、以下のようになった。 【1チームの平均本塁打数(1試合あたり)】 2019 1.39本 2020 1.28本 2017 1.26本 2021 1.22本 2000 1.17本 2016 1.16本 2018 1.15本 1999 1.14本 2004 1.12本 2001 1.12本 すでに様々な分析がなされ、ロックアウトでキャンプが短く、打者の調整が遅れていること、リーグ全体でリリーフ投手の質が上がったことなどが指摘されているが、やはり行きつくところ、大谷も口にしたように、ボールの違いか。 実は5月4日、16年以降のフォーシームファストボールの抗力係数(Cd)のデータが、「baseballsavant」で公開された(図を参照) 野球のボールの抗力係数はボールの形状に依存し、今回のケースでは、例えば19年と比べて、「明らかに縫い目が高くなっている」と、マイケル・ロレンゼンやパトリック・サンドバル(ともにエンゼルス)は証言する。縫い目が高くなれば当然、抗力係数が上がり、飛距離の減少をもたらしうる。