なぜエンゼルスの“二刀流スター”大谷翔平は目覚めたのか…進化する打撃と2つのルール変更の追い風
開幕から7試合、30打席本塁打がなかったエンゼルスの大谷翔平(27)の今季第1号は、見送ればボールという内角高めの真っ直ぐを豪快にかち上げた。 「1番・DH」で出場した15日(日本時間16日)のレンジャーズ戦。プレーボール直後の初球だった。 高めの球に角度をつけることは難しくないが、どうしても振り上げるため、低めの球を打つためにバットを振り下ろす場合と比較すると、バットスピードが遅くなる。これに伴って打球初速が遅くなり、いい角度で上がってもフェンス前で失速することが少なくない。が、それはあくまでも一般論。他のデータでも、大谷に当てはめようとすると無理が出ることが少なくない。そもそも大谷のバットスピードは規格外なのである。 キャンプ中もこんなことがあった。 3月29日のロッキーズ戦で、大谷はレフトへ本塁打を放ったが、昨季、ともにオールスターゲームに選ばれたジャレッド・ウォルシュは、大谷がギリギリまでボールを引きつけて振り抜き、飛距離を出したことに、「ありえない」と首を振った。 「あの内角低めの球を反対方向に打ち上げたら、しっかり捉えたとしても普通はレフトフライだ。パワーも含めて、あのバットスピードがあるからこそ、あんな打球が打てるのかな」 ウォルシュは、大谷が打撃練習のとき、バットスピードやアタックアングルなどを計測できる”ブラストモーション”というデバイスをバットのグリップエンドに付け、スタッフが1球ごとにバットスピードの数字を読み上げていることを知っていた。 ウォルシュ本人は、「自分も試したことがあるけど、手をグリップエンドにかけて握るから、ブラストモーションが外れたり、握るときに違和感があるから止めてしまった」とのことだが、「でも、ショーヘイと同じようにドライブライン(・ベースボール)でトレーニングをしたジョー・アデルから、そうした数値を知ることの重要性を聞かされて面白そうだったから、今季終了後にはそういう取り組みもしてみたいと考えている」と興味を口にしている。